2015 Fiscal Year Annual Research Report
肺アスペルギルス症の治療薬開発を目指した病原因子エラスターゼの阻害物質の探索
Project/Area Number |
25460143
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
小森 由美子 名城大学, 薬学部, 准教授 (60162070)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二改 俊章 名城大学, 薬学部, 教授 (80103266)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | pulmonary aspergillosis / elastase / elastase inhibitor / cytotoxicity |
Outline of Annual Research Achievements |
Aspergillus 属真菌(A. nidulans, A. ustus, A. oryzae, A. ochraceus, A. versicolor)由来の5種類のエラスターゼと、以前に報告した A. fumigatus, A. flavus 由来エラスターゼの生化学的性質の比較を行った。酵素活性を比較した結果、酵素と基質の親和性(Km)は 7 種の酵素で大差はなく 1.0~2.2×10-3 M であったが、酵素の触媒高率(kcat)は 6.35~94.9×10-2/sec と差があり、病原性が強いとされる菌株(A. fumigatus, A. flavus, A. nidulans)由来エラスターゼほど強い酵素活性を示した。またフィブリノーゲン分解作用やⅣ型コラーゲン分解作用についても、A. fumigatus, A. flavus 由来エラスターゼが最も強かったことから、Aspergillus 属真菌の病原性にはエラスターゼの関与が大きいことが示された。 遺伝子組み換えにより作成した A. fumigatus 由来エラスターゼインヒビター産生株から精製した阻害物質 AFUEI による酵素活性阻害実験の結果、AFUEI は 7 種のエラスターゼに対し非拮抗的に結合することが示唆された。A. ochraceus, A. ustus, A. oryzae 由来エラスターゼに対して AFUEI は強い結合性を示し、酵素とのモル比を 10分の1としても活性が 80 % 以上阻害されたのに対し、他のエラスターゼはAFUEIに対するモル比が上昇すると活性の阻害率は低下した。 A. oryzae が産生するエラスターゼインヒビターの遺伝子導入株から精製した阻害物質 Asoryzin についても、Aspergillus 属真菌由来エラスターゼに対する酵素活性阻害効果が認められた。Asoryzin は A. fumigatus 由来エラスターゼのフィブリノーゲンやコラーゲン分解活性を消失させるとともに、細胞傷害性も阻害した。 以上の結果から、深在性肺アスペルギルス症における AFUEI、Asoryzin の治療薬としての応用が期待された。
|
Research Products
(6 results)