2013 Fiscal Year Research-status Report
生理活性天然物のファーマコフォア再構築による転写機能調節化合物の創製
Project/Area Number |
25460146
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 晋也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (60389179)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 医薬化学 / ファーマコフォア / 核内受容体 / 転写因子 / クルクミン / 前立腺癌 |
Research Abstract |
多彩な生理活性を有する天然物であるクルクミンについて、そのアンドロゲン受容体(AR)アンタゴニスト活性におけるファーマコフォア(必須構造)の推定、およびそれに基づく活性化合物の構造展開を行った。クルクミンのARアンタゴニスト活性には、その構造中に含まれる2つのベンゼン環が必要であると推定し、その2個のベンゼン環をクルクミンの共役ポリエンに相当する硬固性および柔軟性を併せ持つリンカー構造、具合的には芳香族アミド構造およびウレア構造、スチルベン構造等を用いて連結した化合物郡を設計、およそ100化合物を合成し、その活性評価を行った。化合物の生物活性評価は、一次評価としてアンドロゲン依存性細胞SC-3細胞に対する抗アンドロゲン作用によりスクリーニングした。その結果、4-(4-ベンゾイルアミノフェノキシ)フェノール構造を有するいくつかの化合物が有意なARアンタゴニスト活性を示すことを見出した。ARアンタゴニスト活性を示した化合物について、さらに周辺誘導体の設計および合成を行った。その結果、合成化合物はSC-3細胞に対して高い活性を示したほか、変異ARを有するヒト前立腺癌由来細胞株(LNCaP細:T877A変異AR、22Rv1 細胞:H874Y変異AR)のアンドロゲン依存的な細胞増殖に対しても顕著な抑制活性を示した。また、ヒトARに対する結合親和性試験においても有意なAR結合親和性を示し、合成した化合物はAR結合を解して抗アンドロゲン活性を発現していることが示唆された。以上のとおり、クルクミンの構造要素を基にした新規ARアンタゴニストの創製に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、多彩な生理活性を持つ天然物のファーマコフォア再構築という着想により、斬新な構造を有し、高い活性を持つ新規アンドロゲン受容体アンタゴニストの創製に成功し、関係学会および論文等での発表にいたっており、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、合成した化合物ライブラリを用いて、他の核内受容体に対する制御化合物の創製を検討する予定である。アンドロゲン受容体(AR)はステロイドホルモンを内因性リガンドとする受容体であるため、昨年度に創製したARアンタゴニストの周辺化合物に、プロゲステロン受容体やエストロゲン受容体など他のステロイドホルモン受容体に対するリガンド候補化合物が存在している可能性を考えている。化合物のスクリーニングから、さまざまな活性プロファイルを持つ核内受容体制御化合物の創製を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
化合物展開において、想定よりも早い段階で有望な化合物が創出され、有機合成にかかる費用が当初の想定よりも少なかったこと。および、研究代表者が年度途中で異動したことにより、一時的に研究活動が減少したため。 前年度、化合物合成において有望な化合物がすでにいくつか創出されており、それらの生物活性について重点的に検討を行う。特に、当初予定していたいくつかの核内受容体に対する活性に加えて、その他の核内受容体や転写因子などに対する作用を系統的に評価し、構造活性相関を検討する。また、すでに得られた結果について、各種の関連学会等において報告し、その有用性や今後の展開について議論する。
|
Research Products
(12 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Chemical library screening for WNK signalling inhibitors using fluorescence correlation spectroscopy2013
Author(s)
Mori, T.; Kikuchi, E.; Watanabe, Y.; Fujii, S.; Ishigami-Yuasa, M.; Kagechika, H.; Sohara, E.; Rai, T.; Sasaki, S.; Uchida, S.
-
Journal Title
Biochem. J.
Volume: 455
Pages: 339-345
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-