2014 Fiscal Year Research-status Report
生理活性天然物のファーマコフォア再構築による転写機能調節化合物の創製
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25460146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 晋也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (60389179)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医薬化学 / ファーマコフォア / 核内受容体 / 転写因子 / プロゲステロン / アンドロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
多彩な生物活性を有する天然物であるクルクミンの構造要素を基にして、多様な構造展開を行い、前年度までに高い活性を有する新規アンドロゲン受容体アンタゴニストの創製を行った。今年度はまず、アンドロゲン受容体と同じくステロイドホルモン受容体であるプロゲステロン受容体について、合成した化合物群のリガンド活性を評価した。プロゲステロン受容体は、構造的にはステロイドホルモン核内受容体の中でもアンドロゲン受容体との相同性が最も高い受容体である。生理的にはプロゲステロン受容体は女性生殖機能に深く関与しており、女性生殖器系の疾患の治療ターゲットであるのみでなく、近年は中枢作用でも着目されているタンパクである。化合物の活性評価の結果、いくつかのスルホンアミド誘導体がプロゲステロン受容体アンタゴニスト活性を有することを見いだした。続いて、ヒットしたスルホンアミド誘導体の構造展開を行い、活性向上と構造活性相関の検討を行い、ナノモーラー単位での活性を有する新規非ステロイド型プロゲステロン受容体アンタゴニストの創製に成功した。化合物と受容体の結晶構造とのドッキングシミュレーションを行い、化合物の構造活性相関の結果とあわせて結合様式を考察し、更なる構造展開の余地があることを見いだしている。また、アンドロゲン受容体に対する交差活性を評価し、プロゲステロン受容体に対する選択性を有していることを確認した。創製した化合物は選択的なプロゲステロン受容体アンタゴニストとして、プロゲステロン受容体研究における有用な分子ツールとなり得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、多彩な生物活性を有する天然物であるクルクミンの構造要素に着想を得て、新たな化合物の構造展開を行い、前年度に達成したアンドロゲン受容体アンタゴニストの創製に加え、新たに新規ファーマコフォアを有する非ステロイド型プロゲステロン受容体アンタゴニストの創製にも成功した。本結果は関係学会における発表を行い、また論文投稿を行っているところであり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
創製した新規プロゲステロン受容体アンタゴニストの構造活性相関から、さらなる構造展開の余地があることが示唆されている。いっそうの構造展開から高活性化合物の創製と結合様式の解明を行う。また、予備的知見として、プロゲステロン受容体アンタゴニスト候補化合物として合成した一部の誘導体がグルココルチコイド受容体のリガンドとして機能し得ることを見いだしている。そこで、グルココルチコイド受容体リガンドとしての構造展開、構造活性相関を検討することで、新規非ステロイド型グルココルチコイド受容体リガンドの創製を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は研究の進捗および発表を数多くしており、初年度からの繰越額を含めると該当年度は当初計画以上の支出をしている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画に加え、新規標的タンパクに対する作用の評価系の確立に次年度使用額を用いることを計画している。
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Research Products
(20 results)