2014 Fiscal Year Research-status Report
基質型阻害剤との複合体構造解析に基づく非ペプチド型プロテアーゼ阻害剤の開発
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25460160
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤路 健一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60142296)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 創薬科学 / 医薬品化学 / プロテアーゼ阻害剤 / SARS / BACE1 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症呼吸器症候群SARSおよびアルツハイマー病の原因は異なるが、その治療には鍵となるプロテアーゼの阻害が最も有望と考えられている。本研究では、これら疾患の発症の鍵となるプロテアーゼ阻害に基づく治療薬開発を目的として非ペプチド型阻害剤の創製を行う。各疾患の標的プロテアーゼは、SARS 3CLプロテアーゼとβセクレターゼBACE1である。 SARSプロテアーゼ阻害剤開発研究では、申請者がこれまで進めてきた複合体構造解析研究で明らかにしたペプチド性阻害剤とプロテアーゼとの主要相互作用部位である疎水性側鎖構造を環構造に組み込んだNデカリン型阻害剤の選択的合成法を確立し、得られた化合物が数十μモルレベルのIC50値ではあるものの確実なSARS 3CLプロテアーゼ阻害活性を持つことを示した。さらに、SARS 3CLプロテアーゼとの複合体結晶作製に成功し、X線構造解析に基づく構造最適化を進めている。 BACE1阻害剤開発研究では、オレフィンへの立体特異的エポキシ化と続くアミン化合物の付加反応を利用した水酸基の立体選択構築法を確立し、阻害活性発現の核となる水酸基の立体配置を特定した。さらに、数十μモルレベルのIC50値を示す阻害剤とBACE1との複合体のX線結晶構造解析によって、阻害剤プライムサイトでの相互作用増強を目指した非ペプチド型プライムサイト構造の設計と評価を進めた。現在までに得られた知見をもとに芳香環構造への新たな置換基導入による活性増強を目指した新規阻害剤合成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nデカリン型SARSプロテアーゼ阻害剤開発研究では、当初計画通りの合成ルートに基づく合成法を確立した。すなわち、鎖状前駆体を二価パラジウム触媒を利用した環化反応に付すことよりデカリン型母核骨格の立体選択的構築が効率よく行えることを確認した。また、様々なアシル型置換基を持った誘導体についても最終段階でのアルデヒド体への変換をWeinrebアミドの還元反応で再現性良く行える合成ルートを確立した。得られた化合物のうちいくつかは予想通り数十μモルレベルのIC50値を示すSARS 3CLプロテアーゼ阻害活性を示し、プロテアーゼとの複合体結晶作製にも成功した。現在構造解析に基づく誘導体設計と合成を精力的に進めている。さらに、窒素原子を酸素原子に置き換えたOデカリン型阻害剤の設計と合成についても検討を進めている。本合成では、酸素官能基の立体をシャープレス不斉化反応の駆使によるコントロールで合成する経路を考案し、デカリン骨格の立体選択的合成を進めている。 BACE1阻害剤開発研究では、HEA型基質遷移状態概念に基づくmimic水酸基の立体選択的構築法を確立し、阻害活性発現に最も適した中心水酸基の活性配置を初めて明らかにするとともに、BACE1との複合体X線結晶構造解析により水酸基立体配置の違いに基づく相互作用様式をはじめて原子レベルで解析した。これらの構造解析に基づき、阻害活性増強に貯血すると予想されたプライムサイトでの構造最適化を進めている。特に、芳香環の導入と芳香環上置換基にヘテロ原子を導入する事により活性増強が望めると予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
Nデカリン型SARS 3CLプロテアーゼ阻害剤の構造最適化;これまでに得られた阻害活性と相互作用解析結果をもとに、プロテアーゼ表面との相互作用が可能なヘテロ原子を組み込んだアシル基導入型阻害剤の設計・合成と評価を進める。本化合物タイプについてはほぼ結晶化条件が確定しているので、得られた化合物すべてについての結晶化と構造解析を行う予定である。 Oデカリン型SARS 3CLプロテアーゼ阻害剤に関する研究;N型とは異なる相対配置での置換基導入が可能なOデカリン型阻害剤の合成と構造解析研究を進めている。酸素原子の特性を利用した不斉反応を駆使して、立体選択的なOデカリン骨格の合成を行う。Nデカリン型阻害剤の結果をもとに、母核となるOデカリン骨格へもヘテロ原子を有する側鎖構造を導入する。環化前駆体の調製に必要な6員環構造はブタジエンとのDiels-Alder反応を利用するが、キラル補助基を有するジエノフィルを用いた立体選択的合成法を採用する。 BACE1阻害剤については、前年度から引き続きBACE1複合体構造解析を進めるとともに、ノンプライムサイト側鎖置換基を主鎖構造に取り込んだ環状骨格の設計・合成を行う。環状化合物への変換にはオレフィンメタセシス反応やHeck反応を利用することとし、環状化前駆体合成のために必要な様々なオレフィン側鎖含有アミノ酸の立体選択的合成が可能な一般法を確立する。 前年度までの研究により、申請者はすでにSARS 3CLプロテアーゼやBACE1とそれぞれの阻害剤との複合体結晶化条件をほぼ確立しており、新たに合成した化合物についても積極的にX線結晶構造解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画では、それぞれの標的酵素に対する阻害剤合成と活性評価、および複合体構造解析を並行して進める計画であった。しかし研究の効率的進展を図るため、研究機関前半で化合物合成を集中して進展させ、得られた化合物の阻害活性評価と構造解析研究については順次進めることとした。このため、初年度は酵素調製や複合体結晶化条件にかかる費用が大幅に節約できたため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は阻害活性評価と複合体構造解析を進めることができたため、初年度から持ち越した次年度使用額はかなり解消され今年度以降の研究で予定通り使用できる。
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[Journal Article] Chemical Dynamic Kinetic Resolution and S/R Interconversion of Unprotected α-Amino Acids2014
Author(s)
Takeda, R.; Kawamura, A.; Kawashima, A.; Sato, T.; Moriwaki, H.; Izawa, K.; Akaji, K.; Wang, S.; Liu, H.; Acena, J. L.; Soloshonok, V. A.
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Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 53
Pages: 12214-12217
DOI
Peer Reviewed
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