2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胎児肝細胞を用いた胎児毒性評価系の構築と分子毒性基盤
Project/Area Number |
25460167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山折 大 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (40360218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 栄 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (70169069)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎児毒性 / ヒト胎児肝細胞 |
Research Abstract |
本研究は、ヒト胎児肝(HFL)細胞を用いた胎児毒性評価系を構築し、その分子毒性基盤を確立することを目的とする。初年度は、HFL細胞に対する化学物質の毒性評価を行った。抗てんかん薬、ニコチンとその代謝物、ワルファリン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬、抗がん薬(タモキシフェン、サリドマイド、レナリドミド、シクロホスファミド、5-フルオロウラシル)、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、多環芳香族炭化水素、デキサメタゾン、all-trans-レチノイン酸(ATRA)、エタノールなど68種類の化合物を24時間処理した後にWST-1アッセイを行った。その結果、タモキシフェン、ATRA、ジクロフェナク、テルミサルタン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチンが強い(50%以上の)増殖抑制作用を示した。これらの化合物でLDH releaseアッセイを行ったところ、ほとんどの化合物は細胞膜を傷害したが、ジクロフェナクおよびテルミサルタンでは細胞膜の傷害は認められなかった。細胞毒性の経時変化を検討したところ、タモキシフェンおよびシンバスタチンは処理後1時間で24時間後と同等の毒性が認められたことから、薬物暴露初期より細胞毒性を誘発していることが示された。ATRAは処理後1~6時間で、またジクロフェナクは6~24時間で経時的に毒性が増強された。これらの細胞毒性にアポトーシスが関与しているか否かを明らかにするため、カスパーゼ-3阻害剤(z-DEVD-fmk)を前処理したところ、タモキシフェン(10μM、6時間)の毒性は有意に抑制されたが、ATRA(25μM、3時間)およびジクロフェナク(250μM、24時間)の毒性は抑制されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、医薬品を含む68種類の化学物質を用いてHFL細胞の増殖能に与える影響について解析し、タモキシフェンやATRA、ジクロフェナク、一部のHMG-CoA還元酵素阻害薬が強い増殖抑制作用を示すことを明らかにすることができた。また、一部の化合物については、アポトーシスが関与する可能性があるものとそうでないものに分類することができ、現在、詳細な細胞毒性機構について解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、前年度に完結できていない細胞毒性機構の解明と並行して、HFL細胞を用いた化学物質の暴露評価(発現解析)について解析する。化学物質を処理したHFL細胞において、各種薬物代謝酵素の発現変動をmRNAレベル、タンパク質レベル、酵素活性レベルで解析する。これらの解析はスムーズに実行できると考えている。miRNAの発現解析についても、これらの解析と並行して実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
強い細胞毒性を示した化合物について詳細な機構解析が完結しておらず、それに必要な試薬・消耗品を購入するための研究費が残っている。 研究費の一部は細胞毒性機構の解析に必要な試薬・消耗品に使用し、残りの大部分は細胞培養に必要な試薬・消耗品、mRNAレベルおよびタンパク質レベルの発現解析に必要な試薬・消耗品、活性測定に必要な試薬・消耗品に使用する。
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