2015 Fiscal Year Research-status Report
幼若期ストレスの脳機能への影響と聴覚的環境エンリッチメントの予防効果に関する研究
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25460168
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
白崎 哲哉 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (30264047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副田 二三夫 熊本大学, その他の研究科, 助教 (10336216) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 母仔隔離 / 自然環境音 / 聴覚エンリッチメント / Hole-board試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性ストレスに伴う情動性変化の検出に利用されるHole-board試験を用い、穴覗き込み行動、立ち上がり行動、壁立ち上がり行動、排尿、脱糞の5項目について正常飼育群と母仔隔離群で比較したところ、いずれの項目においても有意な差は認められなかった。また、母仔隔離時に45-55dBの自然環境音(雨音、小川のせせらぎ、虫の声など)を聴かせた聴覚エンリッチ群でも、穴覗き込み行動、立ち上がり行動、脱糞の3項目について正常飼育群との間に有意な差は認められなかった。しかしながら、壁立行動は聴覚エンリッチ群において有意に多く、逆に、排尿回数は聴覚エンリッチ群で有意に少なかった(ともにp<0.05)。また、排便回数も有意差は認められなかったものの大幅に低下していた。排尿回数と排便回数の低下は、ストレス(不安)の低下を示すものと考えられており、聴覚エンリッチメントの脳機能保護作用について今後解明する手がかりになるものと考えられる。一方、壁立ち行動についてはこれまで注目されておらず、聴覚エンリッチメントの効果について現時点でその意味を考察することは難しい。今後、壁立ち行動が動物行動のどのような側面を表す指標であるかを明確にすることで、行動試験の幅が広がり、聴覚エンリッチメントの評価が進展するものと期待される。超音波発声については、まだ記録できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究環境整備が進んでいないこと、学会支部事務局幹事となり支部大会の準備・開催に当初予定した以上の時間を要したこと、全学の初年次基礎教育および入学前教育に関する学内制度構築等を担当することとなり当初予定になかった時間を要したこと、実験担当者の減員が起きたこと、超音波発声記録装置およびソフトの習熟が遅れていること、熊本地震と父の逝去に伴う私事雑事で時間を取られていること等により、モデル動物の作成の後の実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波発声の記録は、本研究の中で最も重要な部分と位置付けている。このため、まず第一にその成功に向けて集中的に取り組む。購入した装置と同じものを利用している施設に見学に行くことも計画している。行動実験については、社会性および攻撃性についての評価が必要であり、ソーシャル・インターラクション試験、ソーシャル・レコグニッション試験、レジデント・イントルーダー試験等により聴覚エンリッチメントの効果を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
研究環境整備が進んでいないこと、学会支部事務局幹事となり支部大会の準備・開催に当初予定した以上の時間を要したこと、全学の初年次基礎教育および入学前教育に関する学内制度構築等を担当することとなり当初予定になかった時間を要したこと、実験担当者の減員が起きたこと、超音波発声記録装置およびソフトの習熟が遅れていること、熊本地震と父の逝去に伴う私事雑事に時間を取られていること等により、モデル動物作成以降の実験が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物228960、飼料 52920、床敷き 4900、麻酔薬 15000、行動実験用チャンバー 40112、超音波発声記録解析の見学・実習用旅費 46000、学会発表旅費 50000、計437892
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