2015 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品による発がんリスク増加に関わる輸送担体の探索とその評価系の開発
Project/Area Number |
25460169
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
関本 征史 麻布大学, その他部局等, 准教授 (10381732)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | AhR / トランスポーター / 発がん性化学物質 / HepG2 / A549 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化学発がん物質による発がん、特にイニシエーションの過程の増強作用を示す「発がん修飾物質」の作用機序について、発がん性物質の細胞内動態に着目して検討を行っている。昨年度までの本研究から、発がん修飾物質はヒトHepG2細胞に発現している異物排出トランスポーター(P-gp、Mrp2およびBCRP)を阻害することで、ある種の発がん性化学物質の細胞内濃度を増加させ、その遺伝毒性を増強させている可能性が示唆された。 そこで本年度は、3-メチルコランスレン(MC)を発がん性化学物質として、また、医薬品であるニカルジピン(Nic)を発がん修飾候補物質として、これらの複合処理が発がんにつながる細胞応答(AhR活性化およびAhR標的遺伝子の発現誘導)が、HepG2細胞に特異的であるかを、種々ヒト細胞株を用いて検討した。その結果、HepG2以外にも、Caco-2、MCF7、Hela、Ishikawaなど多くの細胞株で、NicはMCの作用を増強した。しかし、ヒト肺がんA549細胞では、Nicによるこの増強作用はほとんど見られなかった。これらの結果から、A549細胞に対してNicは発がん修飾物質とはならないことが示唆された。今回使用した細胞株間での異物排出トランスポーターの遺伝子発現プロファイルは若干異なっていたが、A549細胞におけるは顕著な発現低下は報告されていないことから、異物排出トランスポーターとは異なる分子が、Nicの発がん修飾作用発現に関わっている可能性も示唆された。
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Research Products
(2 results)