2014 Fiscal Year Research-status Report
新規聴力制御分子を標的にした、騒音性難聴の解析と予防法の開発
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25460178
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大神 信孝 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80424919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラセン神経節 / 騒音 / 内耳 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】我々はマウスでR分子機能を低下させると加齢性難聴を発症する事、その機能増強により加齢性難聴の予防に成功してきた(Neurobiol Aging 2012)。また、予備的解析より、R分子機能亢進マウスと野生型マウスに騒音曝露を行い、聴性脳幹反応(ABR)測定を実施した所、環境(騒音)ストレスに対する耐性がある事が分かってきた。一方、騒音ストレスは難聴の主要な危険因子であるが、騒音性難聴とR分子の関連は未だ不明な点が多い。そこで、本年度はR分子機能亢進マウスの騒音曝露に対する感受性を更に検討し、R分子機能亢進による騒音性難聴耐性効果を検証すると共に、R分子の下流シグナル分子を標的に、内耳のコルチ器の形態学的解析を実施した。 【結果】本年度の結果より、R分子機能亢進マウスは騒音性難聴に部分的ではあるが有意に耐性を示す事が示唆された。また、内耳の形態解析により、騒音による聴神経の変性も予防出来る事が示唆された。一方、過去の我々の研究成果により、R分子は内耳の聴神経に発現しており、その下流シグナル分子にNF-κBが存在する事が分かっている(PNAS 2010)。そこで、騒音曝露前後で聴神経のR分子とNF-κBの活性を形態学的に検討した所、騒音曝露によりR分子とNF-κBの活性が低下し、R分子機能亢進マウスでは活性低下がレスキューされる事が示唆された。 【今後の検討課題】R分子シグナル関連分子を標的に、賦活化剤を静注等の投与法で投与し騒音性難聴の予防・改善効果を検討する。我々の予備検討により、R分子機能亢進マウスの内耳では、メラニン沈着の亢進が示唆されている。その生理的意義を解析する目的で、アルビノ系バックグランドのR分子機能亢進マウスを用いた解析も平行して進める為に、現在アルビノ系マウスとの戻し交配も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的分子のトランスジェニックマウスが騒音性難聴に耐性を示す分子メカニズムが明らかにされつつあり、おおむね計画通りに進行している為。
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Strategy for Future Research Activity |
内耳の聴神経系の維持に関わる分子群の発現・活性を制御出来る化合物の選定をいくつかの投与法で進め、騒音性難聴発症の予防薬の開発をマウスレベルで展開する。
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Causes of Carryover |
今年度は中部大学から名古屋大学に移動に伴い、マウスや測定機器などを移動させた為、投与実験などを一時中断した。このような理由から、本年度に予定していた消耗品の購入を次年度に予定している為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と翌年度分について、内耳の聴神経系の維持に関わる分子群の発現・活性を制御出来る化合物の選定をいくつかの投与法で進め、騒音性難聴発症の予防薬の開発をマウスレベルで展開し、得られた知見を公表する為、予防薬の候補化合物の購入費用、病理関連試薬、実験動物管理維持費、学会参加費、論文投稿料、技術補佐員謝金で使用を計画している。
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Research Products
(15 results)