2014 Fiscal Year Research-status Report
非晶質ナノシリカのアレルギー性気管支喘息および自己免疫疾患に与える影響
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25460180
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
吉野 伸 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00260729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非晶質ナノシリカ / サイトカイン / アジュバント / 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
非晶質ナノシリカ(nSP) の用途は広く、ファンデーションの化粧品基材、食品の固結防止・流動化剤、歯の充填剤などに用いられているが、一方、その細胞毒性の可能性が示唆されている。 しかし、自己免疫などの免疫系に与えるnSPの影響に関する研究は少ない。本研究では、nSPの自己免疫系に与える影響について自己抗体産生、免疫細胞増殖およびサイトカイン産生について検討した。自己抗原としては代表的な自己免疫疾患である関節リウマチの実験病態モデルであるコラーゲン関節の発症に用いられるII型コラーゲン(CII)を用いた。実験系としては、マウスへのCII免疫時にnSP(粒子径:30 nm)を併用皮下投与(3, 30, 300 ug/マウス)し、投与後21日に血清中CII特異的抗体(IgG, IgG1, IgG2a)、in vitroでのCIIに対する脾臓増殖反応、その細胞培養上清中のサイトカイン(IL-2, IFN-gamman, IL-4, IL-17)を測定した。その結果、nSPは用量依存的に抗CII IgG, IgG1, IgG2a産生を促進することを見出した。また、nSPによってCII特異的な脾臓細胞の増殖は増強された。さらに、nSPは脾臓細胞によるIL-2, IFN-gamman, IL-4, IL-17産生をすべて促進した。これらの結果は、nSPは自己免疫系に対しアジュバント作用、すなわち自己免疫反応を促進する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子はそのサイズがきわめて小さいことから、その細胞毒性をはじめとする生体への影響が危惧されている。本研究によってnSPは自己抗体産生、脾臓細胞増殖反応、免疫応答に関わるサイトカイン産生を増強することから、本ナノ粒子は自己免疫反応を促進することが明らかとなった。したがって、nSPは自己免疫疾患に対し影響を及ぼす可能性が示唆されたことから、本研究によって新規の重要な知見が得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究においては、粒子径が30 nmのnSPを用いたが、本粒子径よりも小さいサイズ(3 nm)あるいは大きなサイズ(300 nm)のものを用いて、粒子径の差異によって自己免疫系へのnSPのアジュバント作用について検討したい。また、今回の研究においてnSPは自己免疫反応に影響を及ぼす可能性が示唆されたことから、本ナノ粒子の免疫寛容に与える影響について免疫担当細胞を用い、本細胞によるサイトカイン産生などについて調べる必要がある。
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Research Products
(4 results)