2015 Fiscal Year Research-status Report
非晶質ナノシリカのアレルギー性気管支喘息および自己免疫疾患に与える影響
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25460180
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
吉野 伸 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00260729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非晶質ナノシリカ / サイトカイン / アレルギー / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
非晶質ナノシリカ(nSP)は、化粧品基材、食品の凝結防止・流動化剤、歯の充填剤などに用いられているが、その細胞毒性の可能性が示唆されている。本研究では、主要なアレルゲンとして知られている卵白アルブミン(OVA)に対する免疫応答に対するnSPの効果について検討した。方法としては、Balb/cマウスに対するOVA免疫時に種々の用量のnSP(粒子径:30 nm)を併用して皮下注射し、投与後、経時的にOVAに対する血清中のIgG、Th1細胞依存性抗体(IgG2a)およびTh2細胞依存性抗体(IgE、IgG1)を測定した。また、In vitroにおいてOVAに対するT細胞増殖反応、その細胞培養上中のTh1サイトカイン(IL-2、IFN-gamma)、Th2サイトカイン(IL-4、IL-5)およびIL-17を測定した。その結果、nSPは抗OVA抗体産生およびT細胞増殖反応を促進した。また、Th1およびTh2細胞依存性抗体産生は共に促進された。サイトカイン産生においても、nSPはTh1のみならずTh2サイトカイン産生を増強した。以上の結果から、nSPはアレルギーに関与するTh2免疫応答のみならず、Th1免疫応答をも促進し、免疫応答全般を増強することが示唆された。また、nSPはTh17産生も増強させたことから、アレルギー性炎症のみならず、様々な原因によって誘導される炎症反応をも促進する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非晶質ナノシリカ(nSP)はそのサイズがきわめて小さいことから、その細胞毒性をはじめとする生体への影響が危惧されている。本研究によってnSPは代表的アレルゲンである卵白アルブミン(OVA)に対する抗体産生、リンパ球増殖反応、Th1およびTh2免疫応答を促進したことから、本ナノ粒子はアレルギー反応およびアレルギー疾患を促進あるいは増悪する可能性が示唆された。本研究によって、nSPなどのナノ粒子がアレルギー疾患に影響を与えうることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、nSPはアレルギー反応における免疫応答を促進することが明らかになったが、これはnSPがアジュバント作用を有することを示唆している。アジュバント作用を有する物質は、腸管においては経口免疫寛容を破綻させ、食物アレルギーおよび自己免疫疾患の発症に関与することが報告されていることから、今後は、OVAを経口的に投与し、免疫寛容を誘導し、本経口免疫寛容誘導に対するnSPの効果について検討する。
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Causes of Carryover |
実験に必要な抗体試薬類を本年度2月に購入予定だったが、在庫がなく、3ケ月間(予定)購入を延期する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に本研究に必要な抗体試薬類代として使用する。
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Research Products
(6 results)