2014 Fiscal Year Research-status Report
ω-3系およびω-6系脂肪酸由来エイコサノイドの細胞外放出機構に関する研究
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25460184
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 浩明 東北大学, 大学病院, 准教授 (80400373)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エイコサノイド / トランスポーター / ABCC4 |
Outline of Annual Research Achievements |
エイコサノイドをはじめとする脂質メディエーターは、ホメオスタシスの維持や炎症をはじめとする様々な病態形成に関与している。脂質メディエーターの薬理学的な解析は進展しているが、一方で機能発揮に必須の過程であると考えられる膜透過機構についての情報は乏しい。本研究では、脂質メディエーター、特にω-3系およびω-6系多価不飽和脂肪酸の細胞外放出機構に関する検討を進めている。 平成25年度に3型エイコサノイドであるプロスタグランジンE3、プロスタグランジンF3alphaおよびトロンボキサンB3がエイコサノイド放出トランスポーターとして報告されているATP-binding cassette transporter C4 (ABCC4)の輸送基質となることを明らかとした。しかしながら、これらエイコサノイドの細胞外放出におけるABCC4の寄与は明らかとなっていないため、エイコサノイド産生細胞として汎用されているA549細胞におけるABCC4の寄与率を評価した。ABCC4の特異的な阻害剤およびABCC4ノックダウンの検討結果より、プロスタグランジンE3、プロスタグランジンF3alphaの細胞外放出にABCC4が50%および30%程度寄与していることが明らかとなった。一方で、トロンボキサンB3の細胞外放出におけるABCC4の寄与はほとんどないことがわかった。 また、ロイコトリエン類(LTs)およびヒドロキシエイコサテトラエン酸類(HETEs)の一斉定量系を新規に構築した。本法をヒト肥満細胞HMC-1に応用したところ、LTB4、LTC4、5-HETE、12-HETE、15-HETEの細胞外放出が観察された。 今後は、ABCC4以外のエイコサノイド細胞外放出の同定および寄与率に関する検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、実施計画の一つとして挙げていた細胞外放出トランスポーターABCC4の寄与をA549細胞を用いた検討で明らかにすることができた。さらに、LTsやHETEsの新規測定系を立ち上げ、HMC-1細胞における細胞外放出プロファイルを見出した。細胞外放出に関わるトランスポーターの同定にも着手しており、その存在を示すデータを一部得ている。以上より、現在までおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度にはこれまで達成できていないエイコサノイド放出トランスポーターの同定に比重を置いて研究を進める。また、ABCC1やABCC2といったこれまでにエイコサノイドの細胞外放出に関与していると報告されているトランスポーターの寄与率について検討する。
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