2014 Fiscal Year Research-status Report
うつ病治療薬の応答性・維持量における遺伝的因子の影響
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25460191
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
井上 和幸 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90514589)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗うつ薬 / 応答性 / 維持服用量 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病における抗うつ薬治療では、抗うつ薬単剤によりコントロールされている患者は全体の7割であり、残りの3割は2剤以上の併用が行われている。また、抗うつ薬に加え、抗不安薬や睡眠薬との併用がなされている患者は全体の7割である。本研究では、こうした実際の臨床現場での治療に基づく抗うつ薬応答性、維持量設定に関連する因子を探索し、診療の手助けとなるバイオマーカーを提供することを目的としている。大うつ病性障害、あるいは気分障害と診断された患者85名を対象として抗うつ薬応答性、および維持量と関連する因子について検討した。応答性については、各患者において効果不十分により抗うつ薬の服用が中止された薬物を非応答薬物として定義した。一方、維持量については、維持期における各抗うつ薬の服用量から抗うつ薬の等価換算であるイミプラミン換算を用いて、イミプラミン換算値を算出した。さらに抗不安薬や睡眠薬の等価換算であるジアゼパム換算を用い、併せて検討した。本年度の検討により、選択的セロトニン再取り込阻害薬(SSRI)応答性とcAMP responsive element binding protein 1 (CREB1)のrs4675690遺伝子多型との関連がみられ、効果が不十分で中止された患者群においてTアレルを有する比率が高い傾向であった。一方、維持量においては、85名のイミプラミン換算値の中央値により2群(低用量、高用量)に分類し、患者背景、遺伝子多型との関連について検討したところ、SLC22A3 rs2292334とジアゼパム換算値がイミプラミン換算値との間に関連がみられ、高用量群ではSLC22A3においてCアレルを有する比率、およびジアゼパム換算値が高い傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者数は85名となり、脳移行性などに関わるタンパク(ABCB1、ABCC1やSLC22A3)における11種類の遺伝子多型について解析を追加して、応答性、維持量との関連について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においても、検体収集を継続しながら、神経伝達物質の生合成、代謝、輸送に関わるタンパク(SLC18A2など)の遺伝子多型の解析を追加し検討を行う。さらに引き続き副作用発症に関わる因子についても検討する。
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Research Products
(2 results)