2013 Fiscal Year Research-status Report
腎不全進行抑制を目的とした尿毒症物質の代償性排泄経路の解明とその誘導
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25460196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森本 かおり 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90401009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幹雄 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (60207610)
荻原 琢男 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (80448886)
矢野 健太郎 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助手 (40644290)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Indoxyl Sulfate / ABC transporter / 消化管 |
Research Abstract |
本年度は、III群(高蛋白結合率)に属する尿毒症物質の排泄に、MRP2, BCRP, P-glycoprotein(P-gp)が関与する可能性について検討した。尿毒症物質からフェニル酢酸(PA)、インドキシル硫酸(IS)、インドール-3-酢酸(I3A)、馬尿酸(HA)、キヌレニン酸(KA)を選択し、MRP2, BCRP、P-gpを高発現するSf-9由来細胞膜ベシクルへの特異的蛍光プローブの取込阻害実験および尿毒症物質自体の取込を測定した。MRP2の特異的基質であるCDCF輸送の阻害は、HAを除くすべての尿毒症物質(3mM)で認められ、特にIS(40%)およびKA (84%)で顕著であった。またBCRPの特異的基質であるLucifer yellowの輸送を、ISおよびKA は、各々46%および58%阻害した。しかしKAおよびISはMRP2ならびにBCRP発現ベシクルにATP依存的に取込まれなかった。P-gpの特異的基質であるN-metheylquinidineの取込は、いずれにおいても阻害されなかった。以上より、ISおよびKAは、MRP2ならびにBCRPを阻害するが、それ自体は基質とはならないことが明らかとなった。輸送担体の候補であるABC transporterがISを輸送しなかったことから、消化管上皮細胞におけるISの輸送の方向性を検討した。Caco-2単層膜を用いた実験結果において、排出方向有意な輸送の存在が示唆されたが、各ABC transporterの阻害剤の影響は認められなかった。また、無処置ラットの回腸切片をDiffusion chamberに装着して行なったISの輸送実験においても、粘膜側から漿膜側への輸送が2,4-dinitrophenolで増大し、エネルギー介在性排出輸送が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎不全時のISの排泄挙動を検討するため、5/6腎摘出慢性腎不全モデルの作出を行ったが、BUN 100mg/dL以上のsevereな病態の作出が難しく、24例中1例で条件を満たしただけであった。今後、手術条件を再検討し、再度病態モデルの作出に取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Caco-2細胞単層膜、小腸短冊状標本を用いた輸送実験における方向性、エネルギー依存性、阻害剤の影響を精査し、輸送系を推定する。推定されたトランスポーターの発現系を購入あるいは作成し、ISを排出輸送するトランスポーターを特定する。 同時に、5/6腎摘モデルより摘出した小腸切片を用いたISの輸送実験を行い、腎不全時にISの輸送能がどのように変化するのか、また、5/6腎摘出モデルおよびsham動物におけるISの物質収支実験を行い、腎不全時における排出経路の変化を把握する。 次に、特定したトランスポーターを誘導する条件を実験的に見出す(文献情報の活用およびレポータージーンアッセイの構築、定量的PCRによるmRNAの定量)。誘導群、非誘導群間で、ISの輸送能の変化をCaco-2単層膜、ラット摘出小腸切片を用いたdiffusion chamber法、ラットin vivoにおける全身クリアランスへの寄与について検討する。In vivo実験は、5/6腎摘出モデルでも行ない、代償性排出経路としての小腸トランスポーターの誘導が、ISの全身クリアランス上昇に寄与できるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
5/6腎摘出ラットにおける病態が予測していたよりも軽度であったことから、一時、動物実験を中断したため、若干の動物費用の残額が生じた。 5/6腎摘出慢性腎不全モデル動物の作出を方法を再検討してから再開する。その際、前年度に生じた残額を次年度予算に加えて、研究を続行する予定である。
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