2015 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全進行抑制を目的とした尿毒症物質の代償性排泄経路の解明とその誘導
Project/Area Number |
25460196
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森本 かおり 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90401009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幹雄 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (60207610)
荻原 琢男 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (80448886)
矢野 健太郎 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助手 (40644290)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インドキシル硫酸 / 消化管分泌 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
腎不全の予後悪化因子として知られるインドキシル硫酸(IS)は、タンパク結合性が高いため透析による除去が難しく体内に蓄積することが問題となっている。本研究では、5/6腎摘出ラットにおいて腎外クリアランスが存在することを示唆する論文報告に着目し、腎不全時の代償性腎外排泄経路として消化管分泌が機能する可能性について検討を行った。 ラット小腸切片を装着したDiffusion chamber法による検討では、通常緩衝液中では経細胞輸送を示唆する透過係数を示すものの方向性は認められなかったが、リン酸不含緩衝液を使用すると排出方向優位な輸送が観察された。Caco-2細胞単層膜の透過においても排出方向優位な輸送が観察された。 アデニン誘発腎不全モデルで消化管分泌の寄与率を検討したところ、軽度腎不全時には全身クリアランスの3%程度が消化管排泄される(正常時の3倍)ことが分かった。腎機能廃絶時には消化管の関与はさらに大きくなると推察された。 輸送系を推定することを目的にABCトランスポーターであるhMDR1, hMRP2, hBCRPを高発現させたSf-9膜ベシクルへの特異的基質の取り込みに対する阻害およびISの取り込みを検討した。ISはMRP2, BCRPを阻害するが、それ自体の取り込みは観察されなかった。そこで、2次性能動輸送の関与を想定し検討したところ、Caco-2細胞単層膜におけけるIS輸送はNa依存性を示した。そこで、消化管に発現する2次性有機アニオン排出輸送系であるSLC17A4の関与を想定し、SLC17A4基質によるISの排泄方向輸送の阻害、DIDS等の有機アニオン交換系阻害剤の影響、SLC17A4のRNAiによるノックダウンの影響をCaco-2細胞を用いて検討した結果、SLC17A4はISの輸送に関与しないことが推察された。以上より、ISは僅かながら消化管分泌され、SLC17A4とは異なるNa依存性の有機アニオン排出輸送系が関与すると考えられた。今後、輸送系の特定と機能の誘導が必要であると考えられた。
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Research Products
(4 results)