2013 Fiscal Year Research-status Report
脳内薬物代謝システムの機能解明に基づく脳内薬物相互作用予測法の開発
Project/Area Number |
25460200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘井 雅行 名城大学, 薬学部, 教授 (00295544)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬物代謝 / CYP / UGT / 脳 / 酵素誘導 |
Research Abstract |
ラット脳における常在的な薬物代謝システムの領域特異的な発現を解析したところ、一部の部位でCYP3A2およびCYP2C11 mRNAの発現が認められたが、その発現量は極めて低かった。UGT1A1、UGT1A6やUGT1A7は小脳や皮質、海馬など主要な脳部位でmRNA発現が認められた。この結果より、脳内においてCYP3A2やCYP2C11の発現量はUGTの発現量よりも低いと考えられたため、CYP3A2とCYP2C11の脳内薬物代謝システムへの寄与はそれほど大きくない可能性があると示唆できた。また、UGT1A6酵素活性の測定として、セロトニングルクロン酸抱合活性の高感度測定法を構築した。 これらをふまえ、ラットに薬物代謝酵素の代表的な誘導薬であるフェニトインとカルバマゼピンを1週間連続腹腔内投与後、脳を摘出し、CYPとUGTのmRNA発現量を定量した。その結果、誘導薬の投与により、UGT1A1は海馬で、UGT1A6は小脳や海馬で、UGT1A7は小脳や延髄で上昇が認められた。一方、CYP2C11が海馬で上昇した。CYP2C11 mRNA発現量がそれほど高くなかったため、酵素活性の測定は困難と判断し、mRNAの測定のみとした。また、誘導薬の投与により、UGT1A1が触媒するSN-38 グルクロン酸抱合活性に大きな変動は認められなかった。UGT1A6が触媒するセロトニングルクロン酸抱合活性は小脳や海馬で増加した。UGT1A6とUGT1A7が触媒するアセトアミノフェングルクロン酸抱合活性は、小脳で増加した。従って、これら酵素活性の増加はmRNAの発現誘導によるものと考えられる。 以上より、フェニトインやカルバマゼピンがラット脳UGT1A1、UGT1A6、UGT1A7、CYP2C11 mRNA発現量およびグルクロン酸抱合活性を変動させることが明らかとなった。従って、薬物代謝酵素の誘導作用を有する薬物の服用によって、脳内薬物代謝酵素、特にUGTの発現が変動することで、脳内に移行しグルクロン酸抱合される薬物の脳内濃度を変化させる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画通りの実験をおおむね遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで発表されている学術論文では、脳内にCYP3AやCYP2Cが発現していると言われているものが存在したが、実際に測定したところ、脳においてCYP3AやCYP2Cのの発現量が極めて低いことが明らかになった。また、本年度実施した予備検討より、市販されているUGT抗体を用いて、脳内UGTタンパク定量を行うことは極めて困難であるとの知見を得たため、次年度の検討では、主にUGTのmRNA発現と酵素活性を中心に検討する。 平成26年度は平成25年年度の結果をふまえて、in vitroの実験系を用いて、薬物代謝システム機能の解明と誘導評価法の構築について検討する。
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Research Products
(2 results)