2014 Fiscal Year Research-status Report
脳内薬物代謝システムの機能解明に基づく脳内薬物相互作用予測法の開発
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25460200
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘井 雅行 名城大学, 薬学部, 教授 (00295544)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬物代謝 / グルクロン酸抱合 / UGT1A / 脳 / 酵素誘導 / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、フェノバルビタール(PB)によるラット脳UGT1A6およびUGT1A7の発現変動メカニズムについて検討した。PBは酸化ストレスを誘発し、抗酸化酵素の発現を変動させることが示唆されている。そこで、ラット脳UGT1A6およびUGT1A7の発現変動と酸化ストレスとの関連を明らかにすること目的に検討を行った。酸化ストレス発生の指標であるヘムオキシゲナーゼ-1 mRNA発現量とチオバルビツール酸反応物量は、UGT1A6およびUGT1A7の誘導が認められた部位で有意に増加した。以上から、PB投与によりラット脳内で酸化ストレスが惹起され、ラット脳UGT1A6およびUGT1A7の発現変動に酸化ストレスが寄与している可能性が示唆された。 また、ラット神経細胞およびアストロサイトを用いて、ラットUGT1Aの発現量を定量した。これらの細胞では複数のUGT1A分子種の高い発現が認められたが、細胞数に比して採取できるRNA量が少なかった。従って、UGTの誘導実験に関しては、神経細胞やアストロサイトではなく代替の細胞株を用いた方法を構築することが、現実的に脳内薬物代謝酵素の発現変動を評価することにつながると考えた。 次に、ヒト脳内薬物代謝酵素発現の局在性の解明を目的に、ヒト脳15部位のtotal RNAを購入し、UGT1A分子種のmRNA発現量の定量を行った。UGT発現が認められた部位も存在したが、発現量が極めて低かった。これは、サンプルの採取およびtotal RNA調製に起因する可能性も否定できないため、実際のヒト脳における発現については更に考察する必要がある。そこで、来年度実施予定であったヒト脳腫瘍関連細胞株を用いて、UGTの発現に関する検討を行った。その結果、複数の細胞系でUGT1A分子種の発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に実施予定だったラット神経細胞およびアストロサイトでの薬物代謝酵素の発現について検討できた。しかし、回収できるmRNA量に制約があり、実際にこれらを用いて酵素誘導実験を行うのは困難であると判断した。そのため、平成27年度に実施予定であった脳腫瘍関連細胞株を用いた実験に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度の結果をふまえ、脳腫瘍関連細胞株を用いて、薬物代謝酵素の誘導ならびに相互作用の評価に関する検討を実施する。ヒト由来神経細胞およびアストロサイトのUGT1A分子種の発現に関する検討も併せて実施し、これらヒト由来神経細胞等で薬物代謝酵素の相互作用の予測実験が実施できるかを評価する。
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Research Products
(4 results)