2015 Fiscal Year Annual Research Report
頸部リンパ節発症疾病に対する直接的薬物治療を目的とした経鼻送達ルートに関する研究
Project/Area Number |
25460201
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
古林 呂之 就実大学, 薬学部, 准教授 (00399156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頸部リンパ節 / 経鼻ルート / 分子量 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までの検討で鼻腔内投与後に良好な頸部リンパ節(CLN)移行性を示したetoposide(ETP、分子量:588.6)について、舌を原発巣とする癌転移モデルマウスに対するCLN転移抑制効果を評価した。モデルマウスの作成に用いるヒト舌癌由来上皮細胞株(OSC-19)に対するETPの有効性はOSC-19の感受性試験により予め確認した。しかしながら、ETPは難溶解性の薬物であり、効果を示すと予想される十分な移行量を確保するためには投与液中の溶解度を高める必要があった。そこで、溶解度の改善を検討した結果、溶解補助剤としてポリエチレングリコール400を添加し、pHを5付近とすることが有効であった。モデルマウスへの投与は、溶解度を改善したこの溶液とさらに高用量のETPを投与するために懸濁液とした。医薬品情報から、ETPの効果が期待される用法・用量で実験を行った。また、先の検討で鼻腔内投与後のCLN移行は高分子量の薬物で有利となることを明らかにしたことから、分子量1333のbleomycin(BLM)の癌転移抑制効果も同様に評価した。BLMの投与量は、医薬品情報を元に予測した経鼻吸収率から決定した。BLMは易溶解性の薬物であり、溶液でも投与量を確保することができた。舌部に移植したOSC-19細胞が生着し、転移が認められる移植3日目から6日間、ETP及びBLMの鼻腔内投与及び対照群として腹腔内に1日1回投与した。最終投与の2日後にモデルマウスのCLNを採取し、病理検査により癌転移を評価した結果、ETP投与の鼻腔内投与群と対照群で抑制効果の差は認められなかったが、BLM投与では鼻腔内投与群において転移抑制の傾向が観察された。本研究により、薬物の直接的なCLN送達における経鼻ルートの優位性が定量的・定性的に明らかとなり、さらにCLN移行における薬物分子量の深い関与を明らかにすることができた。
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