2013 Fiscal Year Research-status Report
標識薬剤を用いた心疾患進行過程における心臓エネルギー獲得機能の変化に関する研究
Project/Area Number |
25460205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 俊博 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70143039)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 標識脂肪酸 / 標識糖 / 脂肪酸代謝 / 糖代謝 / エネルギー獲得機能 / 心不全慢性期 |
Research Abstract |
1.【標識薬剤および実験動物】(標識薬剤)脂肪酸代謝を評価する薬剤として[I-131]9MPAを、糖代謝を評価する薬剤として[C-14]2DGを用いた。 (実験動物)正常動物群(rat;正常)および心疾患作製動物群(rat;心不全(慢性期;CHF))を用いた。 2.【研究内容】正常心臓およびCHF心臓における集積性経時変化実験、局所集積性画像化実験(ARG:オートラジオグラフィ)、脂肪酸代謝物実験等を行い、心不全疾患の進行過程(正常→心不全慢性期(心筋線維化))における心臓エネルギー獲得機能(脂肪酸代謝機能および糖代謝機能)の変化および心不全疾患進行過程おける心筋脂肪酸代謝機能(代謝物分布)の変化について検討した。 【結果・考察】集積性経時変化実験より ー 標識脂肪酸の場合、検討したいずれの時間においても(正常心筋 集積性)>>(CHF心筋 集積性)であり、これら2本の(時間ー集積性)曲線はいずれも投与直後において最大の集積性を示し、その後時間経過と共に減少していくことがわかった。一方標識糖の場合、検討したいずれの時間においても(CHF心筋 集積性)>(正常心筋 集積性)であり、心筋集積性は時間経過と共に非常に穏やかに増加していくことが確認できた。これらの結果より、心不全の病期進行過程において、心臓のエネルギー獲得機能が(脂肪酸利用)→(糖利用)にシフトしていることが確認できた。この知見はARG画像より得られた結果からも支持された。 脂肪酸代謝物実験(心筋における脂肪酸代謝物の分布をTLCの手法を用いて分離・定量解析)より ー 上記心不全疾患進行過程における心筋脂肪酸集積性の急激な減少は、心筋における脂肪酸貯蔵機能の減少に起因していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年次(平成25年度)は、申請の内容:2種の標識薬剤(標識脂肪酸&標識糖)及び正常動物、慢性心不全(CHF)動物を用いた動物実験(a.集積性の経時変化実験、b.代謝物分析実験、c.局所集積性画像化実験、d.組織病理標本の作製)を行い、正常心臓およびCHF心臓におけるエネルギー獲得機能を検討 に従って研究を行い、その結果 疾患進行過程(正常→CHF)においてエネルギー獲得機能機能が脂肪酸利用→糖利用に移行していること(a.集積性の経時変化実験 および c.局所集積性画像化実験 より)を確認し、更に疾患進行過程における脂肪酸利用の低下は、心筋内の脂肪酸貯蔵型代謝物の減少に起因していること(b.代謝物分析実験 より)がわかった。上記のように、初年次は ほぼ申請通りに実験が進行し,また 妥当な結果が得られたことから、自己点検による「研究の目的」の達成度は約85%(おおむね順調)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成26年度以降は 以下2つの事項に関して実験を行う。- 実験(1):心不全疾患の進行過程(正常→心不全(急性期)→心不全(慢性期))における心臓エネルギー獲得機能の変化について検討する。実験(2):心不全疾患(心不全(慢性期))+心機能改善薬 動物群を用いた時の 脂肪酸代謝機能および糖代謝機能の変化を検討することにより、用いた心機能改善薬の薬効を評価する。 2.実験(1)ー【実験材料】(標識薬剤)脂肪酸代謝を評価する薬剤として[I-131]9MPAを、糖代謝を評価する薬剤として[C-14]2DGを用いる。 (実験動物)正常動物群(rat;正常)、心疾患作製動物群(rat;心不全(急性期、慢性期))を用いる。【研究内容・方針】正常心臓および心不全(急性期、慢性期)心臓における集積性経時変化実験、局所集積性画像化実験(ARG)、脂肪酸代謝物実験、組織標本作製等を行い、心不全疾患の進行過程(正常→心不全急性期(炎症期;心臓拡張)→心不全慢性期(心筋線維化))における心臓エネルギー獲得機能(脂肪酸代謝機能&糖代謝機能)の変化について検討する。 実験(2)ー【実験材料】(標識薬剤)脂肪酸代謝を評価する薬剤として[I-131]9MPAを、糖代謝を評価する薬剤として[C-14]2DGを用いる。 (心機能改善薬)PV(脂肪酸代謝機能改善が期待される薬剤)およびカルベジロール(心臓交感神経機能改善薬)を用いる。 (実験動物)正常動物群(rat;正常)および(心不全(慢性期)+心機能改善薬)動物群を用いる。【研究内容】正常心臓および心機能改善薬投与群心臓 における集積性経時変化実験、局所集積性画像化実験、脂肪酸代謝物実験、組織標本作製等を行い、用いた心機能改善薬の薬効(作用点、作用機作等)を評価する。
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Research Products
(4 results)