2013 Fiscal Year Research-status Report
ミコフェノール酸の薬物動態と薬効の速度論的解析と個別化投与設計
Project/Area Number |
25460210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 育子 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50273446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミコフェノール酸 / IMPDH / PK/PD解析 / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
免疫抑制薬であるミコフェノール酸(MPA)は、イノシンモノホスフェイト脱水素酵素 (IMPDH)を特異的に阻害し、MPAのTDMではAUCに基づく投与設計が推奨されている。本研究では、薬物治療管理におけるMPA代謝物およびIMPDH活性測定の意義について検討するため、LC-MS/MSを用いた測定系の構築を行った。MPA及びその代謝物について、臨床濃度域での良好な直線性と日内・日間再現性を得た。臨床検体を用いて検討したところ、LC-MS/MS法によるMPA濃度は、2種のTDM用全自動測定器を用いた値と良好な対応を示したが、MPAGやAcMPAG濃度の個体間変動は大きかった。また、インキュベート時間に対してXMP生成量は直線的に増加する一方、AMPは一定値を示し、AMPによる細胞数補正を用いたIMPDH活性の評価が可能であることが示された。本測定系を用いて、2013年度は、造血幹細胞移植患者13名のPK/PDデータを収集した。 また、MPAのタンパク結合率は98 %と高いため、無アルブミンラット(NAR)を用いた検討を並行して行った。その結果、MPAのタンパク結合率は正常ラット及びNARで、それぞれ98%と80%であり、MPAのAUCはNARにおいて正常の約1/25まで低下していたが、遊離型MPAのAUCは約1/2程度の値を示した。また、NARにおけるIMPDH阻害に対するIC50値は、血漿中MPA濃度では正常ラットの約1/100であったが、遊離型MPAの場合には正常ラットと近似する値を示した。以上、IMPDH活性は遊離型MPA濃度と強い相関を示すことから、低アルブミン時には、血漿中MPA濃度に基づく投与設計では免疫抑制作用が増強する可能性のあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床データも順調に収集できており、モデル動物を用いた検討も、予定モデルから変更したものの、順調に結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、臨床データの収集を続けるとともに、動物データについて、解析を進め、論文投稿を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他の外部資金が採択され、年度を超えて使用できない経費であるため優先して使用し、当該助成金の次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせて、物品費、旅費、その他経費に充て、研究計画の早期実現を目指す。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Assessment of four methodologies (MEIA, CLIA, ACMIA, and FIA-MS/MS) for measuring tacrolimus blood concentration in Japanese liver transplant patients.2014
Author(s)
Hashi S, Masuda S, Kikuchi M, Uesugi M. Yano I, Omura T, Yonezawa A, Fujimoto Y, Ogawa K, Kaido T, Uemoto S, Matsubara K
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Journal Title
Transplant Proc.
Volume: 未定
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] 非小細胞肺がん患者に対する簡易懸濁法を用いたエルロチニブ投与に関する検討2013
Author(s)
髙田哲也, 池見泰明, 福土将秀, 杉本充弘, 石橋直哉, 小林政彦, 矢野育子, 金 永学, 三嶋理晃, 芦原英司, 松原和夫
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Journal Title
医療薬学
Volume: 39
Pages: 565-570
Peer Reviewed
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