2014 Fiscal Year Research-status Report
母体と胎児間の栄養輸送におけるmTORシグナルの新たな役割
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25460211
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平野 剛 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (00322826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 みどり 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (70228766)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎盤栄養素輸送 / 医療薬学 / 食品栄養学 / 医薬品情報学 / 安全性学 / mTOR / mTORC1 / Raptor |
Outline of Annual Research Achievements |
mTORC1はmTORを中心とした複合体であり、アミノ酸やグルコースを感知し生存を制御する栄養感知システムとして、細胞の恒常性の維持に寄与している。細胞外の栄養を感知したmTORは細胞質から核膜周辺に局在するリソソームに移行し、P70S6Kや4EBP1をリン酸化する事が報告されている。しかしながら、栄養シグナルに関与するmTORC1結合因子の存在、あるいはリソソームへの詳細な移行システム等、栄養感知システムとしての機能に関する情報は少ない。そこで、mTORC1におけるP110の機能解析を実施した。 P110発現系において、栄養枯渇環境で生じる4EBP-1の脱リン酸化が未導入細胞と比較し短時間に進行する現象を確認した。栄養枯渇条件、mTOR-Raptor解離条件下では、mTORC1下流エフェクターであるS6RPリン酸化が抑制されてもP110の発現は変化しなかった。P110局在解析の結果、P110は核膜付近(K-18)および核内(H-180)への局在が認められた。Anti-Raptor抗体を用いて mTORC1との共免疫沈降を行いP110のmTORC1への結合量を検討した結果、ラパマイシン処置では、mTORとRaptorが解離するためmTORの共沈量が減少した。また、P110の共沈量も同時に減少したことからP110はmTOR側に結合している可能性が示唆された。以上の結果、mTORC1共免疫沈降法により同定されたP110は、栄養感知システムに関わるmTORC1局在化機構やmTORC1の下流エフェクター制御機構などに関わる重要な因子である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mTORC1からRaptor を乖離し、細胞溶解液を共存させることで 再び各分子を結合させる mTORC1 再構成モデルを確立した。本再構成モデルを用いて、栄養感知システムの生理機能に関する解析を実施し、mTORC1のシグナル伝達にはRaptorとの結合が必須であるという仮説を指示する結果を得た。したがって、本研究は概ね順調に進展できていると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
亜鉛を含むZinc Finger Proteinの一種であるZNF512Bの機能について明らかにするとともに、mTORC1栄養感知システムにおけるZNF512Bの役割と癌細胞における正常細胞との機能の違いについて多角的に検討し、栄養感知システムのメカニズムを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
平成25年度と同様、実験器具および試薬等を効率よく使用することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの2年間と同様に、計画的に無駄のない研究を行う。しかしながら、所属研究期間が神戸大学医学部附属病院薬剤部から北海道医療大学薬学部に変更になったことから、実験器具および試薬などは新規に購入するものが多くなることが考えられるので、最終年度の研究計画は慎重かつ綿密に準備する。
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Research Products
(1 results)