2015 Fiscal Year Annual Research Report
母体と胎児間の栄養輸送におけるmTORシグナルの新たな役割
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25460211
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
平野 剛 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (00322826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 みどり 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (70228766)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 栄養感知システム / mTORC1 / Raptor / ZNF512B / p-4EBP1 / eIF4E / 4EBP1 / P110 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、mTORC1からRaptorを乖離し、細胞溶解液を共存させることによって、再び各分子を結合させることができるmTORC1再構成モデルを確立した。本法を用いることで、再構成モデルに認められる新たな 5 つの構成候補化合物から 1 つの新規分子ZNF512Bを同定することに成功した。また、mTORが栄養を感知しシグナルを下流に伝達する際にRaptorとの結合が必須であることから、mTORC1 再構成モデルから同定されたZNF512BはmTOR栄養感知システムに関わる重要な因子であることが示唆された。ZNF512B は亜鉛を含むZinc Finger Proteinの一種であり転写因子であると予測されているが、明確な機能は明らかにされていない。また、核膜付近と核内への局在を確認したことから、核膜付近でシグナルを受け核内移行すると考えられた。mTORC1が栄養を感知すると、核膜付近に局在するリソソームに移行しシグナルを伝達することを考慮すると、その過程にZNF512Bが関与する可能性が極めて高い。そこで ZNF512Bの富栄養条件と栄養枯渇条件におけるmTORC1への結合量の変化を免疫沈降法にて検討した。その結果、栄養枯渇条件でmTORC1への結合量が約1.7倍に増加することが確認され、かつmTORC1の下流エフェクターであるp-4EBP1の脱リン酸化がZNF512B未導入細胞に対して急速に亢進した。また、mTORC1の下流エフェクターであるS6 Kinaseのリン酸化はP110導入・未導入どちらにおいても5分の段階で完全に抑制された。しかしながら、翻訳開始因子eIF4Eに結合する翻訳リプレッサー4EBP1の脱リン酸化がP110導入細胞において急速に亢進する現象が生じた。したがって、P110は栄養環境の変化に対する感受性を制御している可能性が明らかとなった。
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