2013 Fiscal Year Research-status Report
認知症患者の行動・心理症状の改善を目的とした治療薬の薬物動態・薬効解析
Project/Area Number |
25460215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
賀川 義之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90397505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 吉章 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (60596245)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症 / ドネペジル |
Research Abstract |
認知症治療薬の薬物動態と周辺症状の行動・心理症状(BPSD)との関連性を検討することを目的に、平成25年度には以下を行った。認知症治療薬donepezilの薬物動態を明らかにするため、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)を用いて、donepezilとその代謝物6-0-desmethyl donepezilの血漿中濃度測定系を開発した。薬物血漿中濃度測定用のLC-MS/MSシステムにはAPI-3200 Qtrap (AB SCIEX)とLC-20(島津製作所)を用いた。測定法はNageswara RPらの方法(Biomed Chromatogr, 2011; 25: 943–951)を改編して用いた。すなわち、内部標準物質にdipyridamoleを用い, 前駆イオン→プロダクトイオンのm/z比は、 380.1→91.2(donepezil)、366.2→91.3(6-0-desmethyl donepezil)、505.4→385.2(dipyridamole)とした。LC-MS/MS溶離液には5 mM蟻酸(pH 5.0)とアセトニトリルの30:70を用い、分離カラムにはMightysil RP-18MS(関東化学)を用い、流速0.2 mL/minとた。血漿サンプルからOasis-HLB(日本ウォーターズ)を用いて固相抽出によりメタノール抽出し、遠心エバポレータで乾固後、LC-MS/MS溶離液で再溶解してその10μLをLC-MS/MS に注入した。上記の条件で3成分は3分以内に溶離した。薬物代謝酵素の遺伝子多型に関しては、LightCyclerを用いるCYP2D6遺伝子多型検出方法を確立した。また、行動・心理症状をNPI(Neuropsychiatric Inventory)で評価するための人材を養成した。静岡てんかん・神経医療センターの倫理委員会の承認を得て、4月より参加患者のリクルートを開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 認知症治療薬donepezilおよび代謝物6-o-desmethyl donepezilの血漿中濃度測定方法を確立することができた。 (2) Donepezilの主要代謝酵素であるCYP2D6の遺伝子多型検出をLightcyclerを用いて確立することができた。 (3) 臨床研究の研究倫理委員会の承認を得ることができ、患者リクルートが4月より開始可能になった。 (4) 認知症治療薬の周辺症状の行動・心理症状(BPSD)をNPI(Neuropsychiatric Inventory)で評価できる実施体制を確立した。 以上のことから、研究計画はおおむね順調に進呈していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
静岡てんかん・神経医療センターにおいて、主治医などの協力を得ながら、患者リクルートを推進し、予定される必要症例を確保する。臨床試験の協力患者に対して、認知症治療薬の周辺症状の行動・心理症状(BPSD)をNPI(Neuropsychiatric Inventory)で実際に評価する。患者血液を用いてdonepezilの主要代謝酵素であるCYP2D6の遺伝子多型検出をLightcyclerで実施する。Donepezilの血漿中濃度測定法に加えて、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)を用いる遊離形濃度測定法を早期に確立する。CYP3A4に関しては、Phenotype解析を考慮し、患者の尿中6β-ヒドロキシコルチゾールを指標とした酵素活性の測定も検討する。患者のNPIスコア、臨床症状の改善状況、薬物血漿中濃度、遊離形濃度を10名程度の小数例でパイロット評価し、今後の研究方針を調整する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画は、3年間の継続によるものであり、次年度は2年目にあたる。 次年度の研究費は、患者検体を用いた薬物血中濃度測定や遺伝子多型検出に充てる。 当該研究費は、患者検体の薬物血中濃度を測定用するための各種試薬、遺伝子多型解析用の各種試薬および研究成果発表時の旅費に用いる。
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Research Products
(4 results)