2015 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体腎炎の進展過程におけるNotchシグナリングの役割
Project/Area Number |
25460216
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
上村 和秀 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (20303844)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 糸球体腎炎 / Notch / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
末期腎不全に伴う透析患者は近年増加の一途をたどっており、医療費および患者QOLの観点からその対策が求められる。メサンギウム増殖性腎炎は透析導入の 原疾患として糖尿病性腎症についで2番目に多い主要な原疾患のひとつであり、特にIgA腎症はわが国をはじめとする東アジア諸国で発生頻度が高い。メサンギウム増殖性腎炎の発症と進展のメカニズムはいまだ不明な多く、根本的治療法も確立されていない。そこで本研究では、細胞の分化と増殖に関与するNotchシグナリングに着目し、そのメサンギウム増殖性腎炎における役割について調べ、糸球体腎炎を抑制する方法を見いだすことを目標とする。まず、その動物モデルであるラットThy1腎炎において、一過的にNotch1の発現が認められることを見いだした。さらに、ヒト培養メサンギウム細胞を用い、形質転換を来した増殖中のメサンギウム細胞に Notch1が発現することを見い出した。このことから静止期メサンギウム細胞の生理的機能にはNotchシグナリングは必要ではなく、形質転換を来たした増殖期のメサンギウム細胞において何らかの役割を果たすことが示唆された。最近になって、NotchシグナリングはROS(活性酸素種)によって制御されることが明らかにされつつある。そこで、Thy腎炎ラットに抗酸化能を有するポリメトキシフラボノイドの一種であるノビレチンを投与し、その治療効果を検討した。その結果、尿蛋白、尿微量アルブミン値において非投与群と比べて有意な改善効果は認められなかった。さらに、有望なROS抑制薬を探索する目的で種々のカルバゾール関連化合物についてその抗酸化能と酸化ストレスが関与する腎細胞障害についてスクリーニングを行い、抑制効果を認める有望な化合物を見いだした。今後はこのカルバゾール関連化合物を用いて、Thy1腎炎の抑制効果を検討する予定である。
|
Research Products
(3 results)