2014 Fiscal Year Research-status Report
分子制御機構に基づく次世代医薬品の生体膜透過制御戦略
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25460222
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 善照 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (70175131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 まき子 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (50199296)
小泉 直也 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (80433845)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体膜透過制御 / 生体膜透過バリアー機能 / 高分子薬物透過促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1 Tight Junction(TJ)バリアー機能変化時の遺伝子及び機能解析 サブトラクション法により顕著に発現変動が認めららてた分子の中から、タンパク質の細胞内輸送促進作用があることが報告されているSec61βに着目し、解析を進めた。Sec61βは、トランスロコンであるSec61のβサブユニットで、主に小胞体(ER)に存在する。Sec61βの過剰発現がTJバリアー性やTJ開口・再形成速度に及ぼす影響を調べるためにSec61β発現プラスミドを導入したイヌ腎臓尿細管細胞(MDCK細胞)を作製した。TJ開口に影響するClostridium perfringens enterotoxinのC末端フラグメント(C-CPE)を作用時または除去後のTJ開口・再形成速度を上皮膜電気抵抗値(TER)を測定し、Sec61βとTJ構成タンパク質のclaudinとの相互作用を検討した。Sec61βの過剰発現によりclaudin-4の発現量が転写後に増加、Sec61βの過剰発現によりSec61βとclaudin-4が複合体を形成し、claudin-4が細胞膜へ局在化するとともにTJ再形成速度が上昇することを明らかにした。 課題2 炎症性サイトカインで生じる疾患時のTJバリアー機能低下に対する治療法の基礎検討 TJを構成するclaudin-4に着目し、炎症性サイトカインのTNF-αによるTJバリア機能変化に及ぼすclaudin-4の影響について検討を行った。hclaudin-4過剰発現MDCKではTER値の低下が抑制された。Claudin-4の発現量を増加させるquercetin処理後にTNF-αを作用させたcontrol MDCKでは、TER値の低下が抑えられた。Claudin-4の発現量を高めることは、炎症性サイトカインの作用に対してTJバリア機能を維持するために有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1については、研究が進み成果をまとめて論文公表した(Biol. Pharm. Bull., 37, 979-986 (2014))。 課題2については、先行課題としての継続であるが、生薬成分のquercetin及びberberineが炎症性サイトカインによるTJバリアー機能低下を抑制することやTJ構成タンパク質のclaudin-4の過剰発現が炎症性サイトカインの作用に対してTJのバリア機能を維持するために有用なことなどの知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな課題3については、細胞膜透過ペプチドの新規物質としての探索を進める。従前の研究で、35型アデノウイルスのfiberあるいはshaftに存在するアミノ酸配列より作製したペプチドが新規の細胞膜透過促進分子として作用することを見出している。これらの新規ペプチドの細胞膜結合能に影響する要因を解析する。アラニン置換体を用いた検討でShaftタンパク質の結合ドメインを示唆し、また細胞膜に存在するターゲット分子が一部判明しそれぞれ学会発表しているが、今後詳細に検討を進める。
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