2014 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症治療薬によるD-セリンの有効性向上効果の検討
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25460224
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
福島 健 東邦大学, 薬学部, 教授 (00272485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 慶一 東邦大学, 薬学部, 助教 (60459823)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 統合失調症 / D-セリン / D-アミノ酸酸化酵素 / 第一世代抗精神病薬 / 第二世代抗精神病薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度(25年度)の検討では、統合失調症患者の治療に有効とされるD-セリン(D-Ser)と、現在、同症患者に実際に投与されている統合失調症治療薬について、試験管内での実験(in vitro実験)を中心に行い、幾つかの統合失調症治療薬には、D-Serの代謝分解を抑える作用を有する可能性が示された。 26年度は、主にラットを用いた動物実験(in vivo実験)(1)および(2)を行い、下記の成果が得られた。 (1)統合失調症治療薬リスペリドン(RIS)を腹腔内投与(i.p.)し、その30分後にD-Serを投与することで、RISによる血漿中D-Ser濃度の変動作用を調べた。その結果、投与されたD-Serの血漿中濃度およびその濃度曲線下面積の上昇が見られた。また、この効果は、RISの代わりにD-Serの代謝酵素であるD-アミノ酸酸化酵素の阻害薬であるMPCの投与(i.p.)によっても、同様の傾向が見られた。以上より、RISは生体内においても、D-Serの代謝分解を抑える可能性が示唆された。 (2)D-Serの血液から脳組織への分布、移行への変動を調べるために、実験動物(ラット)が生きている状態での脳組織への物質変動を調べられる、ラット脳マイクロダイアリシス(MD)実験を行った。RISによる脳内D-Ser濃度の変動を調べた結果、D-Serの投与直後の時点において、RIS投与群の方がD-Serの脳への移行(脳内D-Ser濃度)に有意な増加が見られた。今後、RISの投与量変化、D-Serの脳内への移行に関与する幾つかの生体分子について、次年度検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者(卒業研究学生)とともに、動物実験の日程調整を行い、各実験が効率的に進められている。しかし、飼育期間が必要な動物(ラット)を用いる一連の実験が年度内に行うことができなかったため、次年度へ延長することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度については、平成25年度および26年度の研究成果を踏まえ、更に進展させていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、動物実験を中心に進め、順調に成果を得てきたが、飼育期間が必要な動物(ラット)を用いる一連の実験が、年度内に行うことができなかったため、その動物実験を次年度へ延長することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、追加検討が必要な動物実験を行うために、主として動物およびその実験機材の購入費に助成金を使用する。
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