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2013 Fiscal Year Research-status Report

皮膚老化の進行過程を抑制するための抗酸化作用を有する物質の皮内送達法の探索

Research Project

Project/Area Number 25460225
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

鈴木 豊史  日本大学, 薬学部, 准教授 (20267115)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsレスベラトロール / 吸収促進 / 経皮吸収 / 皮内送達 / 美白作用
Research Abstract

1)レスベラトロール(Res)の皮膚透過性を調査するため、その浸透性に及ぼす角質層の影響を検討した。ヘアレスマウス摘出皮膚の角質層を剥離した場合、角質層がある場合と比較して、試料処置後8時間後でのResの累積透過量は10倍に増加し、皮内滞留時間は1/3に短縮され(0.83h)、透過速度は10倍(8.2mg/cm2・h)に増大した。この結果より、皮膚の最外層である角質層がResの皮膚浸透の最大障壁であることがわかった。
2)角質層を介したResの皮膚浸透性を向上させるため、各種吸収促進剤の効果を検討した。皮膚に試料処置後8時間でのResの累積透過量は脂肪酸エステルC8の併用により、促進剤がない場合と比較して、約12倍に増加した。一方、生活習慣病を予防・改善するモノ不飽和脂肪酸のオレイン酸、天然のエキス精油成分リモネンにはそれぞれ吸収促進作用はなかった。また、環式モノテルペンのメントール、精油である成分ネロリドールはわずか2倍程度しかそれぞれ透過が促進しなかった。これらの結果から、皮膚角質層からResを血液中まで経皮吸収させるためには、吸収促進剤として脂肪酸エステルC8が有用であることが明らかになった。
3)Resの皮膚内蓄積性を明らかにするため、放射性標識体[3H]Resを用いて、各種吸収促進剤の併用による皮膚内蓄積率に及ぼす影響を検討した。皮膚に試料処置後8時間でのResの皮膚蓄積率は、適用した全量に対して脂肪酸エステルC8で約20%であり、そのときの累積透過量もほぼ同程度(約20%)であった。一方、上述したその他の吸収促進剤では、Resの皮内蓄積量および累積透過量とも促進剤がない場合と比較して変化がなかった。これらの結果は、脂肪酸エステルC8は、吸収促進剤としてResの皮膚透過性を促進させるだけでなく、同時に皮膚内送達性も向上させる作用を有することが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は皮膚老化の進行を抑制するため、抗酸化作用を有する物質によるアンチエイジング効果を目指した皮膚内送達法を確立することを目的にしている。今年度は、抗酸化物質の皮膚内送達の可能性を明らかにし、皮膚老化の遅延の可能性として、皮膚内細胞の酸化を抑制する評価として美白効果について探索する予定であった。
1)平成25年度は、抗酸化作用を有するレスベラトロール(Res)の経皮吸収性と皮膚内送達性を検討した。Resのジメチルエーテル誘導体は、Resよりも高い脂溶性を有する。ラットに経口投与後の生物学的利用率はレスベラトロール(20%)に比べて、約4倍も高く、小腸からの吸収性が向上することがわかっている。そこで、Resの誘導体のほうが皮膚透過性ならびに皮内送達性が向上すると考えた。HP-β-シクロデキストリンを用いて誘導体の包接複合体を形成することで水溶化を図った。しかしながら、そのHPLC定量法の確立を試みたところ、定量感度や分離能などが再現性に乏しい結果であった。この理由から、Resの誘導体の皮膚透過性や皮膚内送達性を明らかにすることができなかった。
2)平成25年度は、正常ヒト成人表皮メラノサイト(メラニン細胞)による抗酸化物質の美白効果(メラニン生成抑制作用)のスクリーニングを検討する予定であった。しかしながら、マウス皮膚がん由来のB16メラノーマ細胞のほうが美白効果のスクリーニングとして、細胞の取り扱いや汎用性が高いことから正常ヒト細胞から変更して検討を進めた。この細胞ではメラニン産生量が極めて少ないことが課題であった。この理由から、皮膚内抗酸化作用の抑制に関する研究計画の進捗がやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

活性酸素の働きは、我々の体内のタンパク質、脂質などを酸化させることにより、細胞が損傷し、老化が促進されたり、がんや心臓病といった病気になるリスクが高まったりする。紫外線やストレスなどで増加する活性酸素は、それらの刺激で増大が続くことで、皮膚の酸化を引き起こし、老化を促進させる。このような活性酸素による細胞などへの攻撃を防ぐ効果を抗酸化物質は持っている。赤ワイン中の機能性ポリフェノールとして知られるレスベラトロール(Res)は抗酸化作用を有する。また、Resの効果は広く生活習慣病に対する予防効果が期待されることが多くの論文で示されている。このような背景から、2003年に赤ワイン中に存在するResによるラットの老化を遅らせ、寿命を延長させる効果は世界的に注目を集めた。しかし、Resをいかにして皮内に送達させるか、非侵襲的に効率よく、しかも安全性の高い手法はこれまでに確立されていない。高い抗酸化力を持つレスベラトロールは、そのダメージに働きかけ、老化の進展を遅延させ、年齢を重ねた皮膚のキメを整えてハリ・ツヤを与える可能性を秘めている。
1)現在、B16マウスメラノーマ細胞をテオフィリンあるいはα-メラニン刺激ホルモンを含有させた培養液で4日間培養することにより、普通培地と比べて、細胞によるメラニン産生量が約3倍増加したことから、メラニン合成が促進させることを確認した。今後は、既知のアルブチンやコウジ酸のような美白作用が知られている物質を対照として、Resやその誘導体をはじめ、各種抗酸化作用を有する物質について、メラニン産生抑制効果ならびに安全性を評価するために細胞増殖に及ぼす毒性作用について検討する予定である。
2)Resの脳内移行性を明らかにするために、既存の中枢神経系用薬と比較して、放射性標識体[3H]Resがどの程度脳内に移行するのかをマウス脳灌流法で検討する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

「現在までの達成度」にも述べたが、皮膚内抗酸化作用の1つとして細胞内のメラニン産生抑制を測定する予定であった。使用した細胞であるマウス皮膚がん由来のB16メラノーマ細胞ではメラニン産生量が極めて少なかったため、メラニンの産生を促進する物質について検討を最初に行った。
次年度使用額が生じた理由は「今後の研究の推進方策」に述べように研究計画の進捗はやや遅れていること、抗酸化物質のスクリーニングの検討が進んでいないためである。
B16メラノーマ細胞を培養し、抗酸化物質の美白作用のスクリーニングを行うため、細胞培養液、培養フラスコ、タンパク定量キット、測定用96ウェルプラスチックプレートなどの消耗品に使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Effect of terpenes on the skin permeation of lomerizine dihydrochloride2013

    • Author(s)
      Takayuki Furuishi, Yukiko Kato, Toshiro Fukami, Toyofumi Suzuki, Tomohiro Endo, Hiromasa Nagase, Haruhisa Ueda, Kazuo Tomono
    • Journal Title

      Journal of Pharmacy & Pharmaceutical Sciences

      Volume: 16 Pages: 551-563

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 生体内組織移行の視点からレスベラトロールの有用性を探る

    • Author(s)
      鈴木豊史
    • Organizer
      サプリメント医療薬学研究会2013年度勉強会
    • Place of Presentation
      千葉市生涯学習センター
    • Invited
  • [Remarks] 皮膚の老化を遅らせることは可能か?!-健康な皮膚を、若々しく維持する手がかりを探る-

    • URL

      http://www.pha.nihon-u.ac.jp/page.jsp?id=2182

URL: 

Published: 2015-05-28  

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