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2014 Fiscal Year Research-status Report

皮膚老化の進行過程を抑制するための抗酸化作用を有する物質の皮内送達法の探索

Research Project

Project/Area Number 25460225
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

鈴木 豊史  日本大学, 薬学部, 准教授 (20267115)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsレスベラトロール / プテロスチルベン / メラニン細胞 / アマンタジン / アポモルヒネ / 保湿剤 / 皮膚障害
Outline of Annual Research Achievements

1. B16マウスメラノーマ細胞を用いて,レスベラトロール(Res)によるメラニン産生の抑制効果を評価した。Resの0.1~10 microMの濃度範囲では,メラニン産生の抑制効果はみられなかった.そこで、Resの構造中2箇所の水酸基をメチル化した誘導体のプテロスチルベンを新たに合成した。プテロスチルベンをResと同様の濃度範囲で検討したところ、0.1および1 microMの濃度においては、メラニン産生抑制作用は認められなかったものの、5および10 microMの濃度で、コントロールに比べ、それぞれ3.8および21.2%のメラニン産生の抑制効果が認められた。また、これらの濃度においては細胞毒性も認められなかった。

2. Resが皮膚を透過し循環液中に到達した場合について、その脳への移行性についてマウス脳灌流法を用いて検討することから、既存の中枢作用薬と比較した。[3H]-Resの脳内分布容積は、脳灌流の時間経過に伴い増加し、少なくとも120秒までの灌流時間内であれば、血液側から脳側への一方向性の取り込みを追跡できることがわかった。[3H]-Resの血液脳関門透過固有クリアランスは、アマンタジンの約1.5倍、アポモルヒネの1/2倍の値であることが明らかとなった。このことから、レスベラトロールは既存のパーキンソン病治療薬と比較して、ほぼ同等の脳内移行性を有していることがわかった。

3. エルロチニブは肺癌治療に大きな役割を果たしているが,その副作用として皮膚障害が高頻度に出現する。そこで、Resを適用後に副作用として皮膚障害が発生した場合について、副作用の予防対策としてヘパリン類似物質含有の保湿剤による予防効果がどの程度有効であるか検討した。保湿剤の短期的な単独塗布ではエルロチニブによる皮疹の発現までの期間を遅延させる予防的な効果は期待できないことが示俊された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

レスベラトロール(Res)はサンタベリーやブドウに含まれるポリフェノールの一種であり、若返りの成分とも呼ばれ、美容成分として高い注目を集めている。強い酸化力をもち、細胞の酸化を防ぐとともに老化要因を抑制し、長寿遺伝子を活性化することにおいても、若々しさを保つことが期待されている成分である。本研究は皮膚老化の進行を抑制するため、抗酸化作用を有するResによるアンチエイジング効果を目指した皮膚内送達法の確立を目的に、皮膚老化の遅延の可能性を探索している。
これまでに、角質層がResの皮膚浸透の最大障壁であることから、皮下ならびに血液中まで経皮吸収させるためには、吸収促進剤として脂肪酸エステルC8が有用であることを明らかにしている。さらに、C8がResの皮膚透過性を促進させるだけでなく、同時に皮内送達性も向上させる作用を有することを[3H]Resを使用して明らかにしている。
Resにはメラニン産生に必要な酵素であるチロシナーゼの抑制や、美肌成分であるヒアルロン酸・コラーゲンを分解するヒアルロニダーゼ・コラゲナーゼの抑制効果をもつことにより、美白効果があると予測される。しかしながら、本年度、Resによる細胞内メラニン産生抑制効果を明らかにすることができなかった。この原因については現在検討を進めているが、細胞内のチロシナーゼ活性を抑制しメラニン産生量を抑制するメカニズムについて明らかにする必要があると考えられる。
Resの水酸基の2ヶ所をメチル化したプテロスチルベンを合成した。その結果、既存のコウジ酸やアルブチンなどの美白成分には劣るものの、プテロスチルベンによるメラニン産生抑制効果を見いだすことに成功した。
今後は、Resならびにプテロスチルベンのメラニン産生抑制効果に関するメカニズムの追究が必要であると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、レスベラトロール(Res)の誘導体であるプテロスチルベンによるメラニン産生抑制効果を見いだし、さらにResが、既存のパーキンソン病治療薬アマンタジンやアポモルヒネに匹敵する速度で脳内に移行することを明らかにした。また、エルロチニブによる皮膚障害に対する予防対策として、保湿剤の短期的な単独塗布ではなく、尿素製剤やサンスクリーン剤などと併用した皮膚障害の対策が効果的である可能性が考えられた。そのため、Resによる皮膚障害に対しても対応が可能であることが示唆された。
今後は、Resならびにプテロスチルベンのメラニン産生抑制効果に関するメカニズムついて、抗酸化活性の測定やチロシナーゼ阻害活性などについて検討していくことから、皮膚老化進行の抑制効果を明らかにしていく予定である。また、細胞だけでなく、実際ヘアレスマウス皮膚に適用した際、生体皮膚での美白効果や皮膚障害に関する検討を進めていく予定である。
さらに、皮膚適用後のResが、皮下に到達し循環血液中から脳内移行性に移行するメカニズムについても、マウス脳灌流法を用いて、ニコチンと比較しながら、Resの脳内輸送機構について検討を加えていく予定である。

Causes of Carryover

「現在までの達成度」にも述べたように、今年度は皮膚内抗酸化作用の1つとしてレスベラトロール関連物質による細胞内のメラニン産生抑制のメカニズムについても明らかにする予定であった。次年度使用額が生じた理由は「今後の研究の推進方策」に述べように①研究計画の進捗がやや遅れていること、②メカニズムの測定のための抗酸化作用ならびにチロシナーゼ阻害作用に関わる検討が進んでいないこと、またヘアレスマウス皮膚に適用した際、生体皮膚での効果や皮膚障害に関する検討が進んでいないためである。

皮膚適用後のレスベラトロールの脳内移行性については、既存のパーキンソン病治療薬に匹敵する速度で脳内に移行することはわかったが、その移行機構について詳細な検討が進んでいないことも一因である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

細胞、培養液、培養フラスコ、タンパク定量キット、測定用96ウェルプラスチックプレート、マウスなどの消耗品を購入し、マウス皮膚でのレスベラトロール関連物質による美白効果を観察する。また、レスベラトロールの皮膚適用後、循環血液中からの脳移行機構を調査するために、マウスの購入にあてる。

  • Research Products

    (7 results)

All 2015 2014 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (4 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Possible involvement of cationic-drug sensitive transport systems in the brain-to-blood efflux and blood-to-brain influx of amantadine across the blood-brain barrier2015

    • Author(s)
      Toyofumi Suzuki, Toshiro Fukami, Kazuo Tomono
    • Journal Title

      Biopharmaceutics & Drug Disposition

      Volume: 36 Pages: 126-137

    • DOI

      10.1002/bdd.1926

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] ヘパリン類似物質含有軟膏の塗布におけるエルロチニブ誘発皮膚障害の発現時期に及ぼす性別の影響2015

    • Author(s)
      宗 村盛,鈴木豊史,藤井瑞恵,井上真由美,長島 修,深水啓朗,伴野和夫
    • Journal Title

      日本病院薬剤師会雑誌

      Volume: 51 Pages: 216-219

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ケトプロフェン含有テープ剤の膏体部における主薬の分子状態に関する研究2015

    • Author(s)
      深水啓朗,瀧波磨理江,久田浩史,大橋由紀,鈴木豊史,伴野和夫
    • Organizer
      日本薬学会第135年会
    • Place of Presentation
      神戸サンボーホール(兵庫・神戸)
    • Year and Date
      2015-03-26 – 2015-03-26
  • [Presentation] インドメタシンとリドカイン複合体の溶解度と経皮及び経口投与の検討2014

    • Author(s)
      伊藤主馬,古石誉之,鈴木豊史,深水啓朗,長瀬弘昌,上田晴久,伴野和夫
    • Organizer
      第58回日本薬学会関東支部大会
    • Place of Presentation
      昭和薬科大学(東京・町田)
    • Year and Date
      2014-10-04 – 2014-10-04
  • [Presentation] エルロチニブによる皮膚障害の軽減を目的とした保湿剤塗布の予防的効果の検証2014

    • Author(s)
      宗 村盛,鈴木豊史,藤井瑞恵,井上真由美,長島 修,深水啓朗,伴野和夫
    • Organizer
      第24回日本医療薬学会年会
    • Place of Presentation
      名古屋国際会議場(愛知・名古屋)
    • Year and Date
      2014-09-28 – 2014-09-28
  • [Presentation] アマンタジンの血液脳関門輸送におけるH+/カチオン交換輸送体の関与2014

    • Author(s)
      鈴木豊史,青山隆彦,深水啓朗,松本宜明,伴野和夫
    • Organizer
      日本薬剤学会第29年会
    • Place of Presentation
      埼玉ソニックシティビル(埼玉・さいたま)
    • Year and Date
      2014-05-22 – 2014-05-22
  • [Remarks] 皮膚の老化を遅らせることは可能か?!-健康な皮膚を、若々しく維持する手がかりを探る-

    • URL

      http://www.pha.nihon-u.ac.jp/page-2182.html

URL: 

Published: 2016-05-27  

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