2015 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤の作用機序における活性酸素シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
25460229
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
水谷 秀樹 金城学院大学, 薬学部, 教授 (80397504)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / アポトーシス / 活性酸素 / カルシノン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、現在臨床の場で使用されている抗がん剤と活性酸素種 (reactive oxygen species : ROS) との関係に注目し、抗がん剤の効果および副作用の発現機構を酸化ストレスの観点、すなわち酸化ストレスマーカーの観点から明らかにすることである。今年度は、抗がん剤ではないが、健康食品として使用されている西洋ハーブのローズマリー含有成分の1つであるカルシノン酸(Carnosic Acid : CA)を用いて検討した。CAには抗酸化作用や神経保護作用など様々な生理活性が報告されているが、酸化促進作用も報告されている点に注目した。 実験には、プラスミドDNAとヒト白血病細胞HL-60及びHL-60由来catalase高活性のHP100細胞を用いた。 Cell-freeの実験において、CA単独では DNA 損傷は認められず、Cu(II)存在下でCAは濃度依存的にDNAを損傷した。この損傷はmethionalおよび Cu(I) と特異的に結合する bathocuproine により抑制され、catalaseで抑制されたが、フリー OH ラジカルスカベンジャーでは抑制されなかった。また、Cu(II) 存在下でCA は O2-を生成した。細胞実験において、CAによりDNAラダーが形成され、Caspase-3/7活性が上昇した。CAによる細胞生存率は、2hではHL-60 ≒ HP100であったが、4h, 24hではHL-60 < HP100であった。また、ミトコンドリア膜電位の変化は、2h, 4h共にHL-60 > HP100であった。 CAは Cu(II) 存在下で活性酸素種を生成し、DNA を損傷した。その活性種はOHラジカルよりもCu(I)とH2O2とによるcomplexと考えられた。CAによるDNAラダー形成、Caspase-3/7活性上昇が見られたことから、CAによる細胞死はアポトーシスであることが示唆された。CAによる細胞生存率、ミトコンドリア膜電位の変化におけるHL-60とHP100との差異は、HP100がHL-60由来のカタラーゼ過発現株であることから、CAによる細胞死にはH2O2が関わっていると考えられた。
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Research Products
(9 results)