2014 Fiscal Year Research-status Report
データベース活用から抽出される重篤副作用のトランスポータを考慮した発症機序解明
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25460231
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
本橋 秀之 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30359822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 義孝 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60437241)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トランスポータ / 副作用 / 薬剤性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、PMDAの「副作用が疑われる症例報告に関する情報」において、各薬物について有害事象の報告が蓄積されつつある。平成24年12月には副作用報告についての集計ファイルがPMDAホームページにおいて公開され、更新が続けられている。本年度は、昨年度に作成した検索用リレーショナルデータベースを最新のものに更新し、主に薬剤性腎障害に関する解析を中心に進めた。さらに報告例の多い薬物について詳細な解析を加えた。 腎関連有害事象として8,745名が報告されていた。これら腎関連有害事象について70歳代での報告が最も多く、この年齢層を中心にベル型の分布を示した。腎障害関連有害事象について最も報告件数が多かったのは抗ウイルス薬であり、次いで抗悪性腫瘍薬であった。その他には抗炎症薬や免疫抑制薬の報告が多くを占めていた。これらについて報告症例についての年齢を比較したところ抗ウイルス薬では比較的高齢者での報告が多く、比較して抗悪性腫瘍薬では高齢者の割合が低いことが明らかとなった。また副作用の転帰について検討したところ、抗ウイルス薬では比較的転帰が良好である一方、抗悪性腫瘍薬の転帰が不良であることが示された。 報告数の上位であったテラプレビルについては男女別で比較すると、男性が69%、女性が31%と男性の報告数が多かった。年齢別では、全体、男女別ともに60歳代が一番多かった。これら腎障害の転帰については80%以上が回復または軽快であった。一方、未回復の患者も存在したが、副作用ごとに転帰については有意な違いは認められなかった。 本年度は培養腎細胞であるHEK293細胞を用いテラプレビルによる毒性発現について検討した。さらにテラプレビルがカチオントランスポータと相互作用するとの報告をもとに、腎有機カチオントランスポータであるOCT2の関与について検討した。しかしコントロール細胞およびOCT2発現細胞ともに濃度依存的な毒性発現は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、研究の進行に伴って随時リレーショナルデータベースを更新している。本年度は薬剤性腎症害について当初予定の解析をおおむね終了しており、さらに他臓器の副作用について解析を開始した。研究開始当初に第1の目的とした薬剤性腎障害について、ほぼ予定通り研究が進められている。一方、in vitro系を用いた毒性については、昨年度に研究系を整備し、本年度から本格的に毒性実験を進めている。今年度はテラプレビルの毒性メカニズムを解明することはできなかったが、今後はテラプレビルを含めた腎障害性薬物の副作用発現メカニズム解明を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに薬剤性腎障害を中心に本邦の副作用データ解析を進めてきた。今後は確立したデータベースおよび解析手法を用いて、腎臓以外の他臓器に関わる副作用について検討を進める。さらに、当初計画に従い日本以外特に欧米などで構築されている副作用データベースを用い、日本での副作用発現との比較解析を予定する。さらに副作用メカニズム解析については新規培養細胞を導入し、さらに研究協力者を増員するなどで研究の進展を加速させる。
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Causes of Carryover |
本年度の使用予定額についてはほぼ当初予算の予定通り執行されていると考える。データベース解析や情報収集、成果発表に係る予算については順調に執行されていると考える。ただし初年度の繰り越し分についての繰り越しが発生している。これは、細胞実験系に係る費用についての遅れと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度については細胞などの実験系について重点的に研究を遂行し、次年度繰越額を有効活用し副作用メカニズムについての知見を得られるように努める。
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