2015 Fiscal Year Research-status Report
男性生殖系器官の発生・分化メカニズムの機能形態解析と分化マーカーの開発
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25460246
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉永 一也 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (50136719)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 男性生殖器 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺は精子の運動や活性化に寄与する男性特有の器官である。近年、前立腺癌患者はわが国においても増加傾向にあり、その発症機序の解明が急務となっている。しかし、その基盤となる正常の前立腺上皮細胞の分化メカニズムについてはほとんど分かっていない。本年度は、前立腺上皮の細胞化学的特性と機能的分化を探る目的で、マウス前立腺上皮細胞における糖鎖発現についてレクチン組織化学と免疫組織化学を組み合わせた手法を用いて解析した。その結果、多種類のレクチンが前立腺上皮を構成する分泌細胞や基底細胞に陽性反応を示した。成熟期においては、マンノース結合レクチンが前立腺全領域の分泌細胞に、N-アセチルグルコサミン結合レクチンが一部領域の基底細胞に陽性反応を示した。幼若期においては、生後1~2週目で各領域および細胞種でレクチン結合パターンの変化がみられたが、生後3週前後に成熟期マウスと同様の結合パターンが観察された。こうした前立腺上皮の各領域や細胞種そして各分化時期で観察された異なるレクチン結合パターンは、それぞれの機能や分化の進行の違いを反映していると推測された。以上のことから、1)マウス前立腺上皮の糖鎖構造は、領域や細胞種そして分化時期によって異なり変化し、生後3週前後すなわち思春期より以前に確立されること、2)数種レクチンおよび各認識糖鎖は、マウス前立腺上皮細胞の分化マーカーまたは領域マーカーとして有効であること、などが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一定の研究成果を挙げ、論文発表及び学会発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
目標達成に向けて、当初の研究計画を実施する。
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Causes of Carryover |
物品費及び旅費を他財源で補填したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は次年度分と合わせて効率的に使用する。
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