2016 Fiscal Year Research-status Report
男性生殖系器官の発生・分化メカニズムの機能形態解析と分化マーカーの開発
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25460246
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉永 一也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (50136719)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 男性生殖器 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣上体の管腔内環境は精子の成熟・濃縮・貯蔵・保護に重要な役割を担っており、管上皮細胞間の頂端領域の縁を取り巻く密着結合=タイト結合(TJ)による血液-精巣上体関門が形成されることで維持・調節されている。TJの主要構成タンパク質・クローディンClaudin(CLD)はゲノム解析から24種が同定され、これらは組織分布特異性と多様性を有することが明らかにされており、またその発現異常は様々な疾病を引き起こすことが知られている。しかし、その基盤となる正常な精巣上体管上皮におけるCLDの発現・局在に関する情報は少ない。 本年度は、精巣上体管上皮の形成・分化過程におけるCLDの局在を明らかにするため、出生直後~幼若期~成熟期マウスと各種CLD特異抗体を用いて免疫組織化学的に解析した。その結果、数種CLDは上皮細胞種(主細胞・明細胞・基底細胞)や精巣上体領域(I~V)あるいは分化時期で異なる発現・局在パターンを示すことが明らかとなった。成熟マウスの解析では、CLDは主細胞と明細胞間のTJ部及び側部領域、あるいは基底細胞と隣接細胞間の細胞膜接触面に局在することが判明した。こうしたCLDの発現は、生後1週目から認められた。以上の結果から、精巣上体全領域のTJ部に局在するCLDは血液-精巣上体関門の形成に関与し、TJの分化マーカーとして有用である可能性が示された。また、数種CLDはTJ以外の場所で隣接する各種上皮細胞との接触面に局在し、細胞間接着や細胞間相互作用に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年4月に発生した熊本地震により、実験機器や標本試料が破損し実験の再開までに約9ヶ月間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間延長の承認をうけたため、引き続き目標達成に向けて、当初の研究計画を実施する。
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Causes of Carryover |
平成28年4月に発生した熊本地震により、多くの実験装置や試料が破損・損傷し、約9ヵ月間の研究中断を余儀なくされたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1年間の補助事業期間延長が認められたため、今年度の未使用額は次年度の研究費として効率的に使用する。
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