2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢化社会関連疾患モデルを用いた羊膜幹細胞クラスターによる組織再構築機序の解明
Project/Area Number |
25460264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉田 淑子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00171421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 千加 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10523889)
二階堂 敏雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50180568)
岡部 素典 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (60283066)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 羊膜幹細胞 / 羊膜上皮細胞 / 羊膜間葉系細胞 / 幹細胞クラスター / 細胞表面マーカー / Tra-1-60 / 肝細胞 / 分化誘導 |
Research Abstract |
本年度は、羊膜幹細胞クラスターを作成するために、羊膜幹細胞の濃縮及び性質の異なる幹細胞の分取を実施した。 1) 羊膜上皮細胞をMACSを用いてTra-1-60で選択し、Oct3/4. Sox2, Klf4, c-myc, Nanog, lin28の発現についてリアルタイムPCR法にて検討したところ、いずれの転写因子の発現もTra-1-60 陰性細胞に比べ有意に高いことが明らかとなった。免疫染色の結果、Tra-1-60陽性細胞はTra-1-81およびSSEA4陽性であることから、羊膜上皮細胞から羊膜上皮幹細胞を濃縮するのに、Tra-1-60は有効なマーカーである。現在、Tra-1-60により分取した細胞の分化能について検討中である。 2) 羊膜間葉系細胞(HAM)を、細胞の大きさとcolony formation 能で分取したところ、4つのtype(HAMα、HAMα-S, HAMα-M, HAMαL)の増殖能の高い細胞を分取することが可能となった(特許申請中)。これらの細胞は、CD73, CD90, CD105, CD44, CD29, CD49f, CD271, Nestin, CXCR4 に陽性であり、免疫染色の結果, 山中4因子をはじめ、CD44, SSEA3, SSEA4, Tra-1-60, Nestin, Musashiに陽性を示した。肝細胞への分化誘導を行ったところ, 全ての細胞でCYP2D6のmRNAの発現が認められたが、albuminの発現が見られたのは、HAMα-S および HAMα-Lであった。免疫染色においても同様に、HAMα-S および HAMα-Lにおいてのみ、albumin, α1 anti-tripsinなど肝細胞への分化を示唆する像が観察された。肝硬変疾患モデルにてこれらの細胞の効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度には羊膜幹細胞クラスターを形成するために、羊膜幹細胞の濃縮及び分取を第一の目的とした。今回、羊膜上皮では、Tra-1-60をマーカーとして、幹細胞を濃縮することができた。さらに、効率よく、濃縮することも考えたが、転写因子の発現をみると分化誘導がバルクの細胞と比べると有意に進む可能性がある。一方で、羊膜間葉系細胞は、4種類の羊膜間葉系幹細胞のサブクラスを分取することが出来、サブクラス間に分化能の違いがあることも明らかとなた。羊膜上皮と間葉系細胞を会わせてクラスターを作ることは出来なかったが、計画通り、表面マーカーや細胞の大きさなどFACSの情報やMACSを用いて幹細胞を分取、濃縮することが出来た。 第2の計画であったCD271 を用いて細胞を分取する方法、CD271 強陽性の細胞を対象とし、FACS を用いて、強陽性細胞を採取するという実験は、羊膜の採取が充分に行えなかったので、本年度は実施することが出来なかった。 しかし、羊膜幹細胞クラスターを構成する細胞には、必要に応じ一過性に遺伝子導入や化学物質刺激を行い、幹細胞の分化度を調整するという手法について、肝細胞への分化ではなく、神経細胞への分化誘導として、不死化ヒト羊膜上皮細胞(iHAE)に高親和性コリントランスポーター(CHT)遺伝子を導入し、コリン作動性神経への誘導を試みることに成功した。この実験については、形態的な変化だけでなく、機能的な分化を見るために多極電極法をもちいて、実験を開始した。これまで、機能的な解明が充分に行えていなかったので、この領域に着手出来た点を考えると、第二の計画が材料入手の問題で遂行できなかったが、全体とすればおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画に大きな変更はない。 H25年度に羊膜上皮細胞及び羊膜間葉系間細胞を濃縮、分取することが可能であった。 本年度は、in vitroと in vivo の実験を同時に施行する。出来れば、羊膜上皮細胞の濃縮方法については、Tra-1-60以外の分収方法も検討したい。動物モデルを用いた実験について、計画では、 a. 肝炎モデルへの移植:羊膜幹細胞を四塩化炭素投与肝硬変モデルマウスに移植し、分化能および周囲組 織との関係を検討する。b.肺線維化モデルへの移植:肺線維モデルの作成する。マウスのブレオマイシンを投与し、肺線維症を作成する。 c.変形性関節炎モデルマウスへの移植(軟骨への分化):マウスの膝蓋腔にウシコラーゲンtypeIIを投与し、炎症性性関節炎のモデルとする。これにより、関節軟骨の欠損、滑膜の炎症などが惹起される。TGF-b およびDexamethason を添加した培地で2から3 日培養した細胞を、マウスの膝蓋に移植し、軟骨形成能、免疫抑制能を経時的に観察する。d.多発性硬化症の実験モデルへの移植:実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘発し、モデルを作成する。マウスにcomplete のFreund adjubant と等量混合してエマルジョンを作成したミエリンオリゴ糖たんぱく(MOG;150g/0.1ml)を背中の皮下組織に2 カ所投与し、さらにpertussis toxin を0.1ml 連続して2 日投与し、炎症を惹起する。としたが、in vitroでの高親和性コリントランスポーター(CHT)遺伝子導入実験が順調に進んでいるので、アルツハイマー病の疾患モデルについても新たに検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞表面マーカーの発現と組織特異的あるいは各胚葉特異的な遺伝子との相関が明確に認められなかった場合には、分化誘導をかけないhAE 幹細胞およびhAM 幹細胞と分化誘導をかけた細胞群の遺伝子の発現を遺伝子マイクロアレーで検索し、一番動きの大きな遺伝子に着目して、研究を進める計画であったが、今回、表面マーカーで幹細胞の濃縮がおこなえたので、マイクロアレーを実施しなかったことおよび羊膜の採取量が少なかったため、実験が縮小されたため。 分化誘導後の遺伝子の変化をみるために、マイクロアレーを実施する。また、高親和性コリントランスポーター(CHT)遺伝子を導入した細胞の誘導が順調に進んでいるので、アルツハイマー病の疾患モデルを作成し、実験を継続する予定である。
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[Journal Article] Establishment of Immortalized Human Amniotic Mesenchymal Stem Cells.2013
Author(s)
Teng Z, Yoshida T, Okabe M, Toda A, Higuchi O, Nogami M, Yoneda N, Zhou K, Kyo S, Kiyono T, and Nikaido T.
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Journal Title
Cell Transplant.
Volume: 22
Pages: 267-278
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Impaired autophagy by soluble endoglin, under physiological hypoxia in early pregnant period, is involved in poor placentation in preeclampsia.2013
Author(s)
Nakashima A, Yamanaka-Tatematsu M, Fujita N, Koizumi K, Shima T, Yoshida T, Nikaido T, Okamoto A, Yoshimori T, and Saito S.
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Journal Title
Autophag.
Volume: 9
Pages: 303-316
DOI
Peer Reviewed
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[Patent(Industrial Property Rights)] MEDICAL SUBSTITUTE MEMBRANE, USE THEROF, AND METHOD FOR REPAIR OF MEMBRANE TISSUE IN LIVING BODY2013
Inventor(s)
二階堂敏雄,岡部素典,吉田淑子,遠藤俊郎,林央周,齋藤滋
Industrial Property Rights Holder
二階堂敏雄,岡部素典,吉田淑子,遠藤俊郎,林央周,齋藤滋
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
US8.414.929
Filing Date
2013-04-01
Acquisition Date
2013-04-09
Overseas
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[Patent(Industrial Property Rights)] バイオコンジュゲートデバイス2013
Inventor(s)
岡部素典,二階堂敏雄,吉田淑子,小池知加,霞田隆治,古米保
Industrial Property Rights Holder
岡部素典,二階堂敏雄,吉田淑子,小池知加,霞田隆治,古米保
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2013-136802
Filing Date
2013-06-28