2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Takarazuka University of Medical and Health Care |
Principal Investigator |
原田 玲子 宝塚医療大学, 保健医療学部, 教授 (40230718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國井 政孝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80614768)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞極性 / 消化管ホルモン / インクレチン |
Research Abstract |
低分子量GTP結合タンパク質Rab8aのKOマウスの小腸上皮細胞においては、側底側に輸送される種々の蛋白の分布が正常であるのに対し、頂端側に輸送される種々の蛋白では局在の異常が認められる。糖質を感知する受容体であるSGLTもRab8aKOマウスでは局在異常を示し、細胞内の頂端側において広汎に蓄積した染色が大量に認められた。 GLP-1は、SGLTが小腸上皮細胞頂端側で糖質を感知したのを受けて、小腸下部のL細胞から分泌される。Rab8a KOマウスにおいてSGLTが局在異常を示すことから、GLP-1の産生にも異常が生じることが予想される。実際に、Rab8a KOマウスでは小腸下部において、GLP-1陽性細胞の数の増加が認められた。また、wild-typeマウスでは小腸上部ではGLP-1陽性細胞はほとんど存在しないのに対し、Rab8a KOマウスでは小腸上部においてもGLP-1陽性細胞が点在していた。このことからRab8a KOマウスの小腸全体において、GLP-1産生細胞が増えていると考えられる。 一方、Chromogranin Aは腸クロム親和性細胞などの神経内分泌細胞に局在し、調節性分泌経路において分泌顆粒形成に重要な役割を担うと報告されている。そこで小腸上皮細胞を抗GLP1抗体および抗Chromogranin A抗体で二重染色したところ、wild-typeマウスではGLP-1陽性細胞はChromogranin A抗体で染まらないのに対し、Rab8a KOマウスではGLP-1とChromogranin Aとの共発現が認められた。 Rab8a KOマウスにおいてはGLP-1とChromogranin Aとの共発現が認められたことから、L細胞以外の内分泌細胞がGLP-1を産生するようになった可能性や、L細胞において調節性分泌経路が活性化された可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rab8a KOマウスにおいて、GLP-1発現の増加や、Chromogranin Aとの共発現が認められた。これらの結果は以前のデータからは予想できなかった結果であり、小腸上皮細胞の極性異常がインクレチンの産生・分泌に影響を与えていることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Rab8aノックアウトマウスを用いて、小腸上皮細胞の極性異常がセクレチンやCCKなど他の様々な消化ホルモンの合成・分泌に及ぼす影響を解明する。これと現在までの結果を合わせて、消化ホルモン分泌における細胞の頂端側から側底側への情報伝達の機構解明に貢献する。 また、極性異常を示す他の様々なノックアウトマウスを作成・解析することによって、一般に小腸上皮細胞の極性異常がインクレチンの産生・分泌に及ぼす影響を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は以前に作成したRab8a KOマウスにおいて、GLP-1発現変化を観察したため、新規マウスの作成に関わる費用が発生しなかった、また調べた抗体の種類も少なかった。 極性異常を示す他のノックアウトマウスの作成・解析に使用する予定である。 また、セクレチンやCCKなど他の様々な消化ホルモンを調べるため、多種類の高価な抗体を購入する必要がある。
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Research Products
(3 results)