2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規のウラン代替染色剤を用いた新鮮組織三次元微細構造・機能の迅速電顕解析法
| Project/Area Number |
25460270
|
|---|
| Research Institution | Tottori University |
|---|
Principal Investigator |
稲賀 すみれ 鳥取大学, 医学部, 講師 (60116358)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | 病理組織診断法 / 迅速三次元解析法 / 低真空SEM / 重金属染色法 / ウラン代替染色剤 / 白金ブルー / 内分泌腫瘍 / 核異型性 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、パラフィン切片を用いた「低真空SEMによる組織像の迅速三次元解析法」を様々な病理組織に応用し、早期診断・早期治療につなげるための簡便で迅速な診断法として確立することを目的に研究を行った。前年度に続いて、ヒトの内分泌腫瘍（下垂体腺腫、大腸癌、肺大細胞癌：免疫染色または透過電顕による細胞内の特殊顆粒の証明によって確定診断される）に加えて胃癌、乳癌、神経鞘腫などの病理組織標本およびラット大腿骨の正常組織において本法を検討した。その結果、本法は、光顕だけでは識別が難しい分泌顆粒の同定や核の異型性の三次元的な構造解析を可能にし、腫瘍の診断にも有用である可能性が示唆された。
また、新規のウラン代替染色剤を含めていくつかの重金属染色（白金ブルー、過ヨウ素酸メセナミン銀、四酸化オスミウム、酢酸ウラニル、酢酸ガドリニウム、リンタングステン酸）による電子染色効果（反射電子シグナルの違い）をラット舌組織を用いて低真空SEM下で比較観察した。その結果、三次元像と共に電子染色剤それぞれの染色特性による異なった明暗のコントラスト像が描出され、低真空SEM下では、光顕観察における特殊染色法より短時間で簡単な手順で組織像の解析ができることが明らかとなった。本研究により、観察目的に応じた選択または組みあわせによって、電子染色法を一般病理組織などの低真空SEMによる三次元微細構造解析にも応用できると考えられた。これらの研究成果を学会で報告し、投稿論文の準備中である。
|
