2014 Fiscal Year Research-status Report
マウスの感覚機能補償にともなう神経活動と血流動態の適応機序に関する研究
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25460280
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Principal Investigator |
松浦 哲也 岩手大学, 工学部, 准教授 (30361041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田桑 弘之 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (40508347)
坂田 和実 岩手大学, 工学部, 助教 (80261163)
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Keywords | 微小循環 / 機能補償 / マウス / 生体光イメージング / 可塑的変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
片側の頬ヒゲ切除による感覚除去を施したマウスの体性感覚野において、神経および脳血管がどのような機能的変化を示すのか、その可塑的メカニズムの解明を試みた。特に、賦活脳血管反応性を正確に評価可能な光イメージング装置と画像解析技術の開発により独自性の高い研究を行うための測定基盤を構築し、それにより新たな生理現象の発見を目指した。 平成26年度は、前年度に開発した小動物を用いた脳循環代謝の生体光イメージング装置(2014年10月に国際誌Journal of Neuroscience Methodsに掲載)を用いて、感覚除去後の脳循環代謝の1ヶ月間の長期測定を行い経時変化を観察した。感覚除去直後から2週間で賦活時の脳血管反応性と酸素消費量が低下するが、除去後3週間以降に機能的回復を示すことが分かった。 また、二光子励起レーザー顕微鏡により、動脈、毛細血管および静脈での脳賦活時の血管拡張機能を測定したところ、感覚除去後の3週間以降での血管拡張機能の機能的回復をとらえることができた。 さらに、フラビン蛍光イメージングによる脳機能評価法が脳血流動態によるノイズの影響を受けるため、同時に同じ脳表から得た脳血流動態の測定値を用いることでノイズを除去する画像解析法を新たに開発した。これは、本研究で用いた測定装置が2つのCCDカメラにより同じ脳表から脳機能をイメージングすることにより可能となったものである。この解析法を用いることで、血流動態が様々に変化する脳疾患モデルマウスにおいても脳機能の正確な評価が可能になるため、今後この方法を用いて、感覚除去後の脳機能変化への評価に応用する。
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Research Progress Status |
平成25年度に開発した脳循環代謝の生体光イメージング装置を用い、感覚除去を施したマウスを長期的に観察した。これにより、機能回復の過程における脳血管反応性と酸素消費量の関係を明らかにした。 また、二光子励起レーザー顕微鏡を用いたカルシウムイメージング・形態観察は現在進行中である。
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