2015 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの感覚機能補償にともなう神経活動と血流動態の適応機序に関する研究
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25460280
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松浦 哲也 岩手大学, 工学部, 准教授 (30361041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田桑 弘之 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (40508347)
坂田 和実 岩手大学, 工学部, 助教 (80261163)
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Project Period (FY) |
2013 – 2015
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Keywords | 微小循環 / 機能補償 / マウス / 生体光イメージング / 可塑的変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経活動が生じることによるエネルギー代謝と、その消費エネルギーを補うための脳血流調節は、神経・グリア・血管が密接な相互関係により成り立っている。このような神経活動に伴う血流調節機序を神経血管カップリングと呼ぶ。この神経血管カップリングが、脳内の環境変化に伴いどのような可塑的な性質を示すかを明らかにすることが本研究の目的である。特に、感覚入力を人為的に除去することによる脳機能の可塑的な変化に焦点をあてて、マウスを用いた生体光イメージング技術を用いながら測定を行った。 初年度は、神経活動と酸素代謝、脳血流動態を評価するための光生体イメージング実験の立ち上げを行った。特に小動物から脳循環代謝機能を生体光イメージングで画像化する新たなイメージング装置を開発に成功した。さらに開発した測定システムについて動物実験を用いた評価を行い、測定値の安定性を確認した。また、フラビン蛍光イメージングによる脳機能評価をさらに高精度で行うための画像補正法の開発も行った。 次年度は、初年度から続けていた脳機能測定の新規画像補正法の開発に成功した。現在、本研究への応用を進めている。また初年度に開発した脳循環代謝機能の生体光イメージング装置を用いて、感覚除去後の脳機能の経時変化を明らかにした。また、二光子励起レーザー顕微鏡を用いて感覚除去前後における動脈や静脈や毛細血管などの個々の血管機能の評価を行い、特に動脈における機能的回復を確認した、現在、神経活動のカルシウムイメージング技術を用いて感覚除去前後での神経活動の機能的変化を評価している。本研究により感覚入力の変化に伴う脳機能の可塑的メカニズムについてその一部を明らかにすることができた。これらの研究成果は、リハビリテーションの基礎的な生理メカニズムを明らかにするだけではなく、現在発展が著しい再生医療などによる脳機能再生メカニズムの基盤的な知見になると考える。
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