2015 Fiscal Year Research-status Report
聴覚同時検出器細胞の樹状突起局所におけるシナプス統合様式の解明
Project/Area Number |
25460285
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 玲 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70422970)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 樹状突起 / 同時検出 / 聴覚 / 音源定位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では左右の音入力の同時検出器として働く事で両耳間時差検出をおこなうトリ層状核(NL)神経細胞を対象に、低周波数音を担当する領域の細胞(Low-CF細胞)が他の領域の細胞に比べて特徴的に長い樹状突起を持つことの生理学的意義を明らかにすることを目的とする。これまでにLow-CF細胞においてはシナプス入力に偏りがあり、樹状突起遠位部に興奮性シナプス入力が集中していることを明らかにした。このような入力が細胞体にどのように届くのか解析したところ、遠位の入力ほど著しく減衰して細胞体に伝わるが、時間経過は損なわれない事が分かった。この減衰過程には樹状突起局所での脱分極とそれに続くカリウムチャネルの活性化が関与していると考えられる。これらの結果からLow-CF細胞では樹状突起遠位にシナプス入力を集中させることで、個々のシナプス入力を、その時間経過を変えずに小さくして細胞体に伝えていることが分かった。 今後はコンピューターシミュレーションを用いることで個々のシナプス入力を小さくすることがNL細胞での同時検出精度にどのような効果を持つかを検討する。これにより低周波数領域のNL細胞で樹状突起が長いことの生理学的意義を明らかにできると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電気生理学的手法を用いた実験はおおむね順調に行えた。樹状突起と興奮性シナプス終末の関係を電子顕微鏡を用いた三次元再構築により明らかにする実験については、染色条件等の問題によりいまだ満足する結果が得られていない。今回の結果をより精緻なものにする為には必要であると考えるので、期間を延長しさらに実験を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の電子顕微鏡を用いた三次元再構築を行う。その際、染色条件等を再検討することで興奮性シナプスと抑制性シナプスを正確に区別できる画像の取得を目指す。またこれまでに得られた知見を元にモデルを作成しコンピューターシミュレーションを行うことで、細胞全体が同時検出器としてどのように振る舞うかについて解析する。特に入力周波数を変えた時のLow-CF細胞における同時検出精度の変化を解析する。 また平行して論文投稿の準備を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
電子顕微鏡を用いた実験が予想以上に困難であったこと、さらには他の電気生理学的な実験が効率的に行え、研究費を節約出来たことから、次年度に使用する事とした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
標本作製にかかる試薬などの購入の他、電子顕微鏡設備の使用料として使用する。また論文校正や投稿にかかる費用も必要となる予定である。
|
Research Products
(3 results)