2015 Fiscal Year Research-status Report
新しく同定された非定型心筋細胞ACMsの生理的意義および細胞周期調節機構の検討
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25460286
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
尾松 万里子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80161397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60238962)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ACMs / 心筋前駆細胞 / 心筋幹細胞 / 拍動 / プリオンタンパク質 / 細胞融合 / 虚血耐性 / 心筋型トロポニンT |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓は、心筋細胞,内皮細胞,血管平滑筋細胞などに加えて,心筋前駆細胞や心筋幹細胞と呼ばれる種々の細胞によって構成されている。申請者らは,マウス心室筋組織を酵素処理して小型細胞を含む軽い細胞分画を集め,半固形状培地中で三次元培養したところ,今まで知られていなかった種類の細胞を確認し,自発的に拍動を開始することを見いだした。この拍動細胞は,心筋細胞に特異的なタンパク質を発現しているにも関わらず,枝分かれの多い特徴的な形態を有し,心筋細胞とは似ていないことから,非定型心筋細胞(atypically-shaped cardiomyocytes, ACMs)として同定した。これまでのマウスを用いた研究において,ACMsが出生後老齢にいたるまで心臓に存在すること,心室筋細胞より虚血耐性が高いこと,オートファジーの恒常的亢進が見られること,などを明らかにしてきた。また,この細胞を「プリオンタンパク質と心筋型トロポニンTを共発現する心室組織の間隙細胞」として特異的に認識できることを見いだした。 今回,ACMsの分裂・増殖について検討した結果,心筋細胞と同様に分裂は行わず,同種の細胞どうしが細胞融合し,大型の多核細胞になることを確認した。個々のリズムで拍動していたACMも,細胞融合した後には一つのリズムに統一されて細胞全体が拍動することもわかった。培養中のACMsの寿命は30日以上と長く,周囲の線維芽細胞様細胞がコンフルエントに達しても独自のリズムで拍動を続けることが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ACMsが多核細胞である原因として,細胞分裂ではなく,細胞融合によるものであることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
ACMsが虚血耐性を有することから,心室筋細胞が死ぬような低酸素環境下においても,ある程度の細胞数は生き残る可能性が高いと考えられる。現在までに,病理解剖で得られた正常ヒト心筋組織において,ACMsの存在を確認できており,今後は梗塞心筋におけるこの細胞の局在を調べ,生理的意義の解明に努める、
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Causes of Carryover |
データ解析に時間がかかり,当該年度に購入予定であった試薬を次年度に購入することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿料,追加実験に係る試薬購入費用として用いる。
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Research Products
(3 results)