2015 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再灌流傷害における容量性カルシウム流入機構の関与の検討
Project/Area Number |
25460287
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60238962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50447877)
豊田 太 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90324574)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心肥大モデルマウス / TAC手術 / 心室筋細胞 / Ca2+/カルモジュリン依存性タンパクキナーゼ / 筋小胞体リアンジン受容体 / カルシウムリーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度までの検討で、心筋虚血再灌流傷害の発生に容量性Ca2+流入機構が関わっていること、さらに肥大心筋において虚血再灌流傷害の発生が増悪すること、を明らかにしてきた。平成27年度の研究では、肥大心筋において虚血再灌流傷害の発生が増悪する細胞内メカニズムを検討する目的で、容量性カルシウム流入機構の活性化要因である筋小胞体からのCa2+リークが肥大心筋で増強しているか、について検討を行った。心肥大モデルマウスは、TAC(transverse aortic constriction)手術により作成した。具体的には、成体C57BL/6Jマウスを実体顕微鏡下に左第2肋間より開胸して、腕頭動脈と左総頸動脈の間の大動脈弓部に7-0絹糸を用いて30G針の太さにbandingを行い大動脈狭窄を作成した(TAC手術群)。別のマウスに対しては、bandingを除く同様の手術操作を行った(Sham手術群)。 左心室のCa2+/カルモジュリン依存性タンパクキナーゼ(CaMKII)の活性化とそれによる筋小胞体リアノジン受容体(RyR2)のリン酸化の程度を、ウエスタンブロッティング法を用いて解析を行った。その結果、1)リン酸化CaMKIIがTAC肥大心臓で増加していた。2)CaMKIIによるRyR2のリン酸化が亢進していた。 これらの実験により、肥大心臓ではCaMKII活性が増強し、それによりRyR2がリン酸化され筋小胞体からCa2+リークが増強していると考えられた。その結果、肥大心筋では筋小胞体のCa2+含量が減少し、容量性カルシウム流入の増加が増加して、正常心筋と比較して虚血再灌流傷害の増悪につながると予想された。
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Research Products
(14 results)