2013 Fiscal Year Research-status Report
不整脈基質としてのイオンチャネル異常にかかわるマイクロRNA機能制御の解明
Project/Area Number |
25460292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小野 克重 大分大学, 医学部, 教授 (40253778)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒト心筋 / 心房細動 / イオンチャネル / リモデリング / マイクロRNA |
Research Abstract |
患者(家族)より文書により同意を得られた患者から、開心術(あるいは該当手術時)において、体外循環回路にて体循環を維持する時に、大血管及び右心房に送血カニューレと脱血カニューレを設置する際に切除され通常は廃棄される数mmの心房筋組織(右心耳他)を、標本として冷凍保存することとした。2013年3月までの間に大分大学医学部心臓血管外科にて大動脈瘤や弁置換手術を受けた患者260例(文書による同意を得ている)の中から、60~70歳代の男性をピックアップし、さらに重度の心不全、糖尿病、ステロイド治療、透析、心筋炎、発作性心房細動の既往歴を持つ患者は除外して洞調律群(対照群)11例、慢性Af群9例を選出した。採集された右心耳は、凍結保存後実験に使用した。 Universal reference for microRNA research application note(ミルテニーバイオテク株式会社)に委託して、心房細動患者及び対照患者の心房筋組織より得られたサンプルの網羅的解析を行う。引き続き、多変量解析によって、イオンチャネル(あるいは関連蛋白)の増減と相関を示すmicroRNAを特定した。その結果、慢性Af群(n=9)のすべての心房筋では、洞調律群(n=11)に比べ有意にmiR-X発現が増加していることが判明した。さらに、検体数を増やして慢性Af群(n=14)の心房筋におけるmiR-Xの発現量をリアルタイムPCR法により確認したところ、洞調律群(n=19)に比べ176%増加しておりマイクロアレイと同様の結果が得られた。心筋に存在するイオンチャネルのうち、miR-Xがターゲットとするのは心房筋に豊富に存在するK+チャネルとCa2+チャネルである。このため、これらターゲット遺伝子についてmRNA、及びそのタンパク発現量を定量した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miR-Xの細胞での機能を解析するために、初代培養ラット心筋細胞にmiR-Xを過剰発現させたところ、導入したオリゴ(Pre-miRNA molecule)の濃度依存的にK+チャネルmRNA発現量は抑制された。一方、Anti-miR miRNA inhibitorを用いてノックダウンするとK+チャネルmRNA発現量は濃度依存的に増加した。さらに我々は、miR-Xは心臓特異的に発現するmicroRNAであること、また細胞内Ca2+濃度に依存して発現が上昇することを新たに見出している。我々が発見したmiR-XとAfに関する研究報告はこれまでに無いため、本事業の結果からmiR-Xは心筋の電気的にリモデリング成因において重要な因子であると考えられる。したがって、miR-XはAfの発症や維持に関与している可能性が示唆され、miR-Xの発現異常の解析は心筋の電気的リモデリングによるAf発症メカニズムの解明には欠かせないと考えられる。以上の、結果は申請時の計画書の平成25年度達成計画書に沿った実施に一致するものであり、研究は概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はmiR-XがAfの発症病態にどのように関わるかを個体レベルで解析して、miR-Xの発現異常が心筋の電気的リモデリングの成因なのか、それとも防御機構のひとつなのかを解明する目的でmiR-X transgenic ratの作製を試みたい。それと並行して、慢性Afで異常発現するmiR-Xが心筋細胞の電気活動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために、miR-Xを過剰発現あるいはノックダウンした心筋細胞の電気的性質の変化をパッチクランプ法により解析する。さらに、ラット心臓特異的プロモーターであるalphaMHCの下流にmiR-Xの前駆体を含む領域をつなげたベクターを構築し、ラットの頸静脈からmiR-Xプラスミドをinjectionして心筋特異的にmiR-X過剰発現状態にして、プラスミド投与前後の心電図を記録することで、Afが発症するかどうかを確認したい。さらにAfの発症頻度や持続時間を評価し、世界で初めての慢性Afモデル動物を樹立したい。
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Research Products
(1 results)