2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460300
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
黒田 有希子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70455343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨形成 / 糖鎖修飾 / 骨吸収窩 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 糖タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「骨形成を促す骨吸収窩を骨芽細胞に認識させる」機能をもつ新たな分子を同定することを目的としている。近年、骨形成と骨吸収のカップリングに関する研究が盛んに行なわれ、その重要性が強く認識されているが、複雑な骨の形がどのようにつくられていくのかは未だ不明な点が多い。また、新たな骨形成が促される場である骨吸収窩に豊富に存在する糖タンパク質に注目した研究はあまり行なわれていない。そこで我々は、骨形態形成の新たな制御分子して骨吸収窩の糖タンパク質を同定し、その役割を明らかにすることを目標として研究を行っている。 一年目には骨吸収窩に存在する糖タンパク質が破骨細胞から分泌されたものであることを確認後、破骨前駆細胞と骨吸収活性をもつ成熟した破骨細胞から分泌された糖タンパク質を比較し、成熟した破骨細胞から分泌された糖タンパク質を特異的に認識するレクチンを見出した。レクチンは糖鎖結合タンパク質で、レクチンによってそれぞれ特定の糖鎖構造を認識することが知られている。成熟破骨細胞分泌糖タンパク質を特異的に認識するレクチンが骨吸収窩を認識すること、マウス脛骨の組織染色を行なった際に破骨細胞を強く認識することから、このレクチンを「新規骨吸収窩認識レクチン」とし、これを用いて骨吸収窩の糖タンパク質の同定を行なうことにした。 二年目である平成26年度は、新規骨吸収窩認識レクチンに結合する糖タンパク質の同定、骨吸収窩付近における骨芽細胞の動きの観察を行なった。新規骨吸収窩認識レクチンに結合する糖タンパク質のうち、最も主要なタンパク質をMALDI-TOF massを用いて同定した。また、骨片上に骨吸収窩を形成させ、その骨片上での骨芽細胞の動きを観察・解析するために、骨吸収窩の標識、骨芽細胞の可視化、観察方法の検討を行い、現在、漸く観察可能になった段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は骨吸収窩と骨形成部位の観察方法の確立と骨吸収窩に存在する糖鎖の機能解析に着手することを目指していたが、現在、骨吸収窩と骨形成部位の観察方法の検討を行っている段階である。骨吸収窩に存在する糖タンパク質が同定できたことで機能解析と骨芽細胞のlive imagingを同時に行なう方法にこだわり過ぎてしまい、観察方法が複雑になってしまったことが遅れている原因と考えている。現在は、蛍光標識した骨片に骨吸収窩をつくり、その近傍の骨芽細胞の動きを観察する、というシンプルな実験系から得られる情報をもとに次の実験計画を立てている。
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Strategy for Future Research Activity |
生体内のイメージングに関しては条件検討にかなりの時間を要することが予想されるので、in vitro実験系において骨吸収窩近傍の骨芽細胞の動きが観察でき次第、そこまでを論文としてまとめることを第一目標とする。ただし、最終的には生体内での現象を捉えることを目標とし、条件検討は随時進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)