2013 Fiscal Year Research-status Report
TRPM7チャネルにおける酸化ストレスセンサーの同定
Project/Area Number |
25460302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
井上 華 東京医科大学, 医学部, 講師 (20390700)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TRPM7 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
これまでの我々の研究では、マウスより単離した白色脂肪細胞において、TRPM7-like currentが過酸化水素の投与によって抑制されることが示されていた。そこでH25年度は、まずこの現象が動物種特異的あるいは臓器特異的なものであるかどうかを確認するため、ヒト腎臓由来の培養細胞であるHEK293T細胞を用いて、TRPM7-like currentの過酸化水素感受性を確認した。マウス白色脂肪細胞と同様に、HEK293T細胞のTRPM7-like currentは、過酸化水素投与によって抑制されることが観察され、TRPM7-like currentは、動物種や細胞腫にかかわらず過酸化水素によって抑制されるとことが明らかとなった。次に、TRPM7を異所性に過剰発現させ、酸化ストレスによるTRPM7の抑制メカニズムについて詳細な検討を行った。TRPM7-wtを過剰発現したHEK細胞では、内在性のTRPM7-currentと同様に、過酸化水素投与によって電流が抑制された。この抑制は、細胞内遊離Mg濃度に依存しており、濃度が高いほど過酸化水素による抑制が顕著であった。また細胞内ATPが十分に存在する場合には、細胞内Mg濃度が高い場合であっても、過酸化水素によって抑制されないことが明らかとなった。細胞内ATPによるTRPM7活性の維持は、TRPM7のC末端領域に存在するalpha-kinaseには依存せず、またATPの加水分解も必須ではないことを明らかにした。また、過酸化水素による酸化標的アミノ酸残基について同定を開始し、TRPM6で過酸化水素のターゲットとして報告されているメチオニン残基に相当する、TRPM7のM1596をアラニンに置換し酸化ストレスに対する応答を検討した。TRPM7-M1596Aは、wtと同様に過酸化水素で抑制されることから、TRPM7とM6の酸化ストレスによるメカニズムは異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究実施計画に記した 1)酸化ストレスによるMIC/TRPM7電流の抑制は普遍的か? 2)TRPM7分子内の酸化ストレスセンサーの同定 について、いずれも計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度の研究により、TRPM7分子内の酸化ストレスセンサーの候補の一つであったメチオニン残基が除外された。TRPM6とTRPM7の酸化ストレスによる抑制メカニズムは異なることが示唆された。システイン修飾試薬のマレイミドによっても、TRPM7電流が抑制されることから、システイン残基が酸化ストレスセンサーになっている可能性が高い。TRPM7分子内には36のシステイン残基が存在する。今後はこれらをmutagenesisによってスクリーニングする。ただし、36残基のうち、いくつのシステイン残基が酸化されると電流が抑制されるかは未知であるため、36のシステイン残基をいくつかのブロックに分けてアラニンに変異させて解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として計上していた細胞培養用器具の使用が予測よりも抑えられたため。 翌年度は、樹立する細胞株が多いため、細胞培養器具として当該年度より多く請求する予定である。
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