2013 Fiscal Year Research-status Report
エピソード記憶の保持・想起に関する神経生理学的研究
Project/Area Number |
25460311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀 悦郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (90313600)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空間記憶 / エピソード記憶 / 霊長類 |
Research Abstract |
本年度は、実験システムの構築ならびにサルの訓練を主に行った。まず、仮想現実(VR)空間内に半径100mの移動可能領域を設定し、その周囲に様々な空間的手がかり刺激(木、ビル、家、岩、旗、ポスター)を配置して、3種類のVR空間を作成した。このVR空間では、サルがモンキーチェアに設置されたジョイスティックを操作することで空間内を移動し、特定の領域に到達することで報酬(スポーツドリンク)を獲得できる。本年度は、2頭のサルの訓練を行った。 まず、サルがストレスなくモンキーチェアに座るよう、実験環境への馴化を行った。その後、ジョイスティックの操作訓練を行った。この訓練では、1)サルがジョイスティックを前後左右に動かし、画面上のポインターを前後左右に動かすと報酬としてスポーツドリンクが供給される。2)サルがジョイスティックを前後左右に動かし、画面上のポインターを前後左右に動かして円の中に入れると報酬としてスポーツドリンクが供給される。この課題でサルは、ジョイスティックと画面上のポインターが連動していることを学習する。さらに、ポインターを円の中に入れる操作は、目的に従って正確にジョイスティックを操作する必要があり、VR空間移動という本研究の根幹をなす行動の訓練である。 次に、これらのサルは、VR空間内での移動課題を訓練した。訓練では、移動可能領域内に明示した2つの報酬獲得領域を往復することで報酬を与え、徐々に報酬獲得領域を透明化した。この空間内移動訓練では、異なる空間における報酬領域の位置を、周囲の手がかり刺激を元に記憶する必要がある。すなわち、本研究課題でターゲットとしているエピソード記憶の場所情報の記憶が形成されることとなり、研究を遂行する上で最も重要な行動訓練である。 年度終了時点では、1頭のサルがVR空間移動訓練を終了し、ニューロン活動の記録を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、初年度に実験システムの構築およびサルの行動訓練を行い、年度後半にニューロン活動記録の開始を予定しており、現状で概ね予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通り進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はほぼ計画通りに進捗したものの、値引きなどにより余剰金が生じたため。 次年度以降、実験が進むに従って消耗品の購入が更に必要となるので、本年度余剰額を消耗品の購入にあてる予定である。
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