2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
戸田 勝巳 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (40197893)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エストロゲン / 排卵 / タンパク質リン酸化 / 生殖腺刺激ホルモン |
Research Abstract |
申請者が樹立した成熟卵胞に特異的にeGFP遺伝子が発現するマウス(eGFP-マウス)について、これまでに蓄積してきたデータの整理と不足データの追加実験を行い、論文として公表した。このマウスの樹立によって排卵の有無を容易に判定できるようになった。H25年度の実験計画に基づいて、PMSG(FSHの代替ホルモン)刺激によって誘発される卵巣内のシグナル伝達に及ぼすエストロゲンの作用を解析した。様々な条件でマウスを刺激し、AKT, CREB, 及びERK1/2のタンパク質のリン酸化の亢進状態を指標にして解析した。また、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの化学合成アナログを投与して、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの血中濃度を定量するとともに、その刺激が卵巣に及ぼす影響をAKT, CREB, 及びERK1/2タンパク質のリン酸化の亢進の程度を指標に解析した。これらの一連の解析の結果、エストロゲン欠乏マウス(ArKO)ではPMSGに対する反応性が野生型マウスに比べて有意に低下していることが判明した。この結果はArKOマウスに排卵を誘導するためには、高用量の卵胞刺激ホルモンが必要であることを良く説明している。 さらにFSHの反応の感受性を低下するとされる、Amh遺伝子とその受容体であるAmhr遺伝子の転写産物の発現量をRT-PCR法で解析したところ、ArKOマウスの卵巣ではAmhとAmhrのmRNA量が野生型マウスに比べて、それぞれ3倍と5倍に増加していることが判明した。この結果もまた、ArKOマウスのPMSGに対する反応性の低下に寄与していると考えている。排卵誘導に導く第二段階の刺激であるhCG(LHの代替ホルモン)刺激によって惹起される卵巣内のシグナル伝達の解析についてはサンプルの収集が完了し、次年度に引き続き解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は卵発現GFPマウスの論文を公表するために追加の実験等に時間を使い、H25年度の研究計画の後半部分が遅延する結果となった。しかし、サンプルの収集は完了していることや、実験方法・条件が確立できていることから、今後、研究は当初の計画通りに進行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
PMSG刺激48時間後のマウスにhCGを腹腔内に投与し60分後及び120分後に卵巣を摘出する。それらの卵巣をSDSを含む可溶化剤中で可溶化し、SDS/PAGEでタンパク質を分離後、western blot法でCREB, P38aMAPK、および ERK1/2タンパク質のリン酸化状態を解析する。 ArKOマウスはエストロゲンを投与したマウスとしていないマウスについて解析する。また、卵巣内の卵胞を抗リン酸化型CREB抗体と抗リン酸化型ERK1/2抗体を使った免疫組織学的解析し、両抗体が反応する卵胞と一方のみが反応する卵胞を定量する。さらに ArKOマウスに排卵を誘導する場合、インスリンをhCGと同時に投与すると有意に排卵効率が改善できることを観察している。そこで、本年度の実験計画としてインスリンの排卵誘導促進作用の機序の解析を追加する。インスリン同時投与による影響を上述のタンパク質のリン酸化状態を指標にして解析する。H25年度と本年度のArKOマウスのPMSGとhCG刺激に関する実験結果を総合して、エストロゲンを欠乏した卵巣の生腺刺激ホルモンに対する反応機序を論文として公表する。 [肥満と排卵の相関関係の解析] 野生型およびArKOマウスを14日間、高脂肪・高糖成分の特殊餌で飼育する。それらマウスの排卵誘導にたいする反応を解析する。また、高脂肪食を摂取したマウスの卵巣の排卵誘導刺激に対する反応をCREB, P38MAPKa, ERK1/2タンパク質のリン酸化状態を指標にして解析し、高脂肪食の卵巣の生理機能にあたえる影響を明らかにする。
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Research Products
(1 results)