2014 Fiscal Year Research-status Report
時計遺伝子Bmal1ノックアウトマウスを用いた慢性心不全発症メカニズムの解明
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25460316
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
向阪 彰 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (00458051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和気 秀文 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (50274957)
グホ サビン お茶の水女子大学, 理学部, 学部教育研究協力員 (30453179)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心不全 / 時計遺伝子 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の仮説は、「時計遺伝子Bmal1は心筋のエネルギー代謝調節を介して心機能を維持している」である。この仮説の証明のため、平成25年度は心臓特異的Bmal1ノックアウト(H-Bmal1-/-)マウスの心臓の機能および形態学的な観察を行い、心臓のBmal1機能の欠損が心機能を低下させること、そして心室壁を肥厚(12週齢)、また週齢が経つにつれて皮薄化(24週齢)させることを見出した。さらにマイクロアレイ解析では、H-Bmal1-/-マウスの心臓組織中のエネルギー代謝に関連した遺伝子の多くに発現異常が認められた。このことから、平成26年度はエネルギー代謝に重要なミトコンドリアと心臓の時計遺伝子との関係を調べるために以下の実験を行った。 まず、H-Bmal1-/-マウスの心筋ミトコンドリア機能の評価のために、電子伝達系の複合体IおよびIVの酵素活性、さらにNAD/NADHの定量解析を行った。その結果、複合体IおよびIVの酵素活性、そしてNADとNADHの含有量は、H-Bmal1-/-マウスの心臓組織中で有意に低下していた。電子顕微鏡を用いた解析では、H-Bmal1-/-マウスの心筋ミトコンドリアは大小不同の不均一な状態で数も減少していることが判明した。最後に、心筋ミトコンドリア機能に日内リズムがあるのかどうかを調べるために、通常のマウス(C57BL/6J)の心臓組織を4時間毎に採取して複合体IVの活性を測定した。しかしながら、この実験では異なる時間に採取した組織間での複合体IVの活性の正確な比較が容易でなかったため、明確な結果を得ることができなかった。 以上の実験結果により、心臓の時計遺伝子機能は、心筋ミトコンドリアの機能および形態の維持に必須であり、時計遺伝子の機能異常はミトコンドリアのエネルギー代謝障害を引き起こすことで心機能の低下を惹起している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋ミトコンドリアの機能に日内リズムがあるのかどうかについては、実験手技上の問題のため明らかにできなかったものの、その他の実験はおおむね計画通りに進んでいることから達成度は上記のとおりとした。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画は順調に進んでおり、次年度は明暗周期を乱して飼育したモデルマウスにおいても心筋のミトコンドリア機能に異常が認められるのかどうかを確認していく。
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Research Products
(5 results)