2013 Fiscal Year Research-status Report
発熱時の脳内プロスタグランジンE2可視化によるその産生機構解明
Project/Area Number |
25460322
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
松村 潔 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10157349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 紀久子 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (90211672)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / 発熱 / 血管内皮 / くも膜 / COX-2 / mPGES-1 |
Research Abstract |
【PGE2の免疫組織化学法による検出】発熱物質を投与したラット脳で、プロスタグランジンE2(PGE2)の免疫組織化学法による検出を行った。ラットに細菌内毒素(0.2mg/kg)または生理食塩水を腹腔内投与する。3時間後にペントバルビタール麻酔する。左心室から生理食塩水、次いで水溶性カルボジミドを潅流する。脳を取り出しザンボニ液で後固定、30%蔗糖液で凍結保護を施す。凍結切片を作成し、抗PGE2抗体と一晩室温で反応させる。蛍光標識2次抗体と反応させ蛍光顕微鏡で観察する。上記のラットへの細菌内毒素投与では、PGE2合成に関わる酵素COX-2とmPGES-1が血管内皮細胞に誘導されることが分かっている。そのため血管内皮細胞に注目して顕微鏡観察を行ったが、PGE2陽性構造は検出できていない。固定条件の検討が必要である。 【マウス脳出血性発熱におけるPGE2の関与】脳内PGE2を増加させるモデルとしてマウス脳出血性発熱の妥当性を検討した。マウス視床下部にコラゲナーゼを微量投与し脳出血を引き起こし、腹腔温を24時間計測した。脳出血により6時間後をピークとする著明な体温上昇がみられた。この体温上昇は非選択的NSAIDSであるジクロフェナックにより有意に抑制された。コラゲナーゼ投与3時間後に脳組織を採取し、COX-2、mPGES-1を免疫組織化学とRT-PCRで検討した。脳出血によりCOX-2はタンパク質、mRNA量ともに増加した。COX-2は血管内皮に主として発現した。mPGES1は構成的にくも膜に発現しており、脳出血による変化は見られなかった。マウス脳出血発熱モデルでも脳内PGE2の増加が起こっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PGE2の直接検出ができていないため、「やや遅れている」とした。PGE2を直接可視化することが、本研究の重要なポイントである。脂質メディエータであるPGE2はタンパク質とは異なり、組織への固定法が確立していない。研究分担者らはPGF2αについてカルボジミド固定が最適という結論に達している。PGE2についてもカルボジミド固定を試みたが、現在までのところ陽性所見を得ていない。さらなる固定条件の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
仮説1の検証ではPGE2の免疫組織化学を成功させることが重要である。そのため、固定の条件検討と、抗体の種類を増やす。ポジティブコントロールとして、脳にPGE2を微量投与した標本を作る。固定方法として初期の計画のカルボジミド潅流固定に加え、気相固定、浸漬固定を試す。また、COXの下流の酵素、mPGES1の免疫組織化学を厳密に行う。そのため、複数種のmPGES1抗体を用い、ネガティブコントロールとしてmPGES1KOマウスの組織を使用する。 仮説2の検証では、非選択的COX阻害剤が発熱を抑えるが、COX-2特異的阻害剤ではその効果が弱いことがわかった。COX-1特異的阻害剤を用いる実験、およびCOX-1遺伝子欠損マウスを用いる実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラットにおけるPGE2の免疫組織化学が完了しなかったため、次のステップであるWildマウスやノックアウトマウスを用いた実験、細胞培養の準備に進めなかった。 繰越分とH26年度分を合わせた177万円を以下のように使用する。 実験動物90万円(mPGES-1KOマウス30万円、COX-1KOマウス50万円、Wildマウス10万円)、研究用試薬・器具類70万円(抗体40万円、培養用器具・試薬30万円)、旅費17万円
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