2015 Fiscal Year Annual Research Report
血管不全における内皮イオンチャネルリモデリングの解明と治療への応用
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25460327
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
渡邊 博之 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 宏 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10232464)
大場 貴喜 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80431625)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 内皮細胞 / アラキドン酸 / 血管炎症 / Oraiチャネル / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血管不全における内皮Caハンドリング異常の分子機序を解明し、内皮機能不全治療への応用を目指した。当初、細胞内CaセンサーSTIM1の機能障害と血管不全の関連について調べたが、STIM1のノックアウトマウス(STIM1+/-)を作製し血管機能を解析したところ、予想に反しその安静時の心血管機能には異常が見られず、血圧もコントロール群と比べ有意な差をみとめなかった。そのため、血管炎症と血管不全、特にOraiチャネルを中心とした内皮Caハンドリング異常の関連を解析することにした。 まず、ペースメーカーリードによる血管炎症を引き金として上大静脈内に炎症性偽腫瘍が発生した例、大動脈炎後総頸動脈内に内膜と中膜の増殖によると考えられる隔壁様構造が生じた例、活動性大動脈症候群の症例を血管炎症と血管不全の関連を示唆するものとして報告した。次に、血管内皮機能を反映するとされる尿中微量アルブミン排出が、睡眠時無呼吸にともなう低酸素・血管炎症が引き金となって起こること、ASV治療で炎症を抑えることにより微量アルブミンも低下することから、血管炎症と内皮機能に密接な関連があることを報告した。さらに動脈硬化疾患患者によくみられる身体所見Diagonal earlobe crease が炎症や酸化ストレスマーカーと強い相関がることから、血管炎症と内膜・中膜増殖の関連性を発表した。 基礎研究では、アラキドン酸など炎症性物質の細胞センサーと考えられているOrai1とOrai3チャネルが、多量体の形でヒト冠動脈内皮細胞に発現していること。その内皮Orai1/3チャネルがアラキドン酸誘発性Ca流入(non-store operated Ca entry)を司り、内皮細胞の増殖反応に重要な役割を果たすこと、上記反応はOrai1/3それぞれのノックダウンによってその効果が減弱することを発表した。また、内皮Orai1/3チャネルを介したCa流入は、CREBのシグナルを介して細胞増殖を起こしていることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)