2014 Fiscal Year Research-status Report
脂肪細胞におけるAM-RAMP2系の病態生理学的意義の解明と治療標的への展開
Project/Area Number |
25460330
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
神吉 昭子 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (10397309)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アドレノメデュリン / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アドレノメデュリン(AM)は、血管拡張作用をはじめ、抗酸化作用、抗炎症作用、臓器保護作用など多彩な生理活性を有する内因性ペプチドである。脂肪細胞でもAMとAMの受容体活性調節タンパクであるRAMP2は高発現を認めるが、脂肪細胞におけるAM-RAMP2システムの役割や、メタボリックシンドロームにおける病態生理学的意義は明らかでない。本研究では、新たに脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を樹立し、AM-RAMP2システムの、脂質代謝およびエネルギー代謝調節における意義や、脂肪細胞の分化制御における役割を解明し、それらの知見をもとに、メタボリックシンドロームの新たな治療法開発へ展開することを目的とする。 平成26年度は、作成したA-RAMP2-/-の脂肪組織の病理解析および遺伝子発現解析を主に行った。A-RAMP2-/-は野生型マウスと比較して、白色脂肪細胞が肥大化し、マクロファージ浸潤が増加していた。また、リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析により、白色脂肪組織において炎症性サイトカインやマクロファージマーカーの上昇、脂肪酸β酸化系遺伝子の発現低下が認められた。また、褐色脂肪組織においては、ミトコンドリア関連遺伝子の発現低下が見られた。以上の結果より、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞ともに、AM-RAMP2システムが脂肪細胞の分化およびエネルギー代謝制御に関与することが示唆された。さらに詳細なメカニズムを解明することにより、AM-RAMP2システムが治療の有用な標的となるか明らかになると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)の病理解析および遺伝子発現解析を行った。リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析により、A-RAMP2-/-は、野生型マウスと比較して、白色脂肪組織において炎症性サイトカインやマクロファージマーカーの上昇、脂肪酸β酸化系遺伝子の発現低下が認められた。また、褐色脂肪組織においては、ミトコンドリア関連遺伝子の発現低下が見られた。以上の結果より、脂質代謝およびエネルギー代謝調節にAM-RAMP2システムが関与することを明らかにした。当初目的としていた白色、褐色脂肪組織の解析ができているため、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)の褐色脂肪組織の解析を中心に行い、脂肪細胞におけるAM-RAMP2システムの役割をさらに詳細に解析する。また、A-RAMP2-/-に高脂肪食を投与した肥満誘導モデルを作成し、肥満およびメタボリックシンドローム病態での脂肪組織の解析を行い、普通食投与マウスと比較することにより、脂肪細胞におけるAM-RAMP2システムの役割をより明確にする。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] Pathophysiological roles of adrenomedullin-RAMP2 system in acute and chronic cerebral ischemia2014
Author(s)
Igarashi K, Sakurai T, Kamiyoshi A, Ichikawa-Shindo Y, Kawate H, Yamauchi A, Toriyama Y, Tanaka M, Liu T, Xian X, Imai A, Zhai L, Owa S, Koyama T, Uetake R, Ihara M, Shindo T.
-
Journal Title
Peptides
Volume: 62
Pages: 21-31
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Functional differentiation of RAMP2 and RAMP3 in their regulation of the vascular system2014
Author(s)
Yamauchi A, Sakurai T, Kamiyoshi A, Ichikawa-Shindo Y, Kawate H, Igarashi K, Toriyama Y, Tanaka M, Liu T, Xian X, Imai A, Zhai L, Owa S, Arai T, Shindo T.
-
Journal Title
J Mol Cell Cardiol
Volume: 77
Pages: 73-85
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
[Presentation] Adrenomedullin-RAMP2 system regulates lipid and energy metabolism in white and brown adipocytes2014
Author(s)
Kamiyoshi A, Sakurai T, Ichikawa-Shindo Y, Kawate H, Uetake R, Yamauchi A, Igarashi K, Toriyama Y, Tanaka M, Imai A, Liu T, Xian X, Shindo T.
Organizer
The 18th International Vascular Biology Meeting
Place of Presentation
みやこめっせ(京都)
Year and Date
2014-04-14 – 2014-04-17