2015 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞ACh産生系制御による代謝リモデリング介入効果についての基盤的研究
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25460333
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
柿沼 由彦 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40233944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非神経性コリン作働系 / アセチルコリン / 心臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
αMHCをプロモーターとした、心室筋特異的にChAT geneを発現するトランスジェニックマウス(ChAT tg)は、本研究期間を通して得られた結果により、血行動態学的および心機能的には野生型(WT)マウスと比べていずれも有意差が認められないにも関わらず、細胞代謝学的には、糖利用を相対的に高め、エネルギー代謝学的には糖代謝を優位に行うよう変換させたマウスであることが明らかとなった。したがって、培養心筋細胞における細胞全体における代謝がWTと比べより減少していること、心筋における糖利用に関わるHIF-1αにより制御を受ける下流遺伝子群が特異的に、このChAT tgの心臓においてその蛋白発現が亢進していることも確認された。このChAT Tgマウスに心筋梗塞を施しその2週間後の生存率を比較すると、WT 41.7%に対してChAT Tg 92.3%とほぼ2倍以上の改善をみとめた。また、梗塞を起こした心臓の残存心筋細胞数、新生血管出現割合、いずれもChAT tgにおいて有意に増加していた。また摘出心臓を用いたランゲンドルフ潅流心の実験においては、還流遮断後の心拍停止までの時間はTgにおいてより長く、還流再開後の心拍再開までの時間はTgにおいてより速い結果が得られた。以上のことは、Tgの心臓においては、より虚血耐性機構が亢進し、それによる機能障害軽減・機能回復促進が確認された。よって、a non-neuronal cardiac cholinergic system (NNCCS)のin vivoモデルであるChAT tgでこのようなことが結果が得られたことから、本NNCCSは心臓において不可欠なシステムであることが明らかとなり、本システムに対する治療的介入の可能性が示唆された。
また、このNNCCSに対する介入方法を探索した結果、一つには四肢阻血再灌流により心臓ChAT蛋白発現および心臓内ACh含量の増加が認められた。その特異的プロトコールを検討し、現時点における最良の条件を見出した。
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Research Products
(11 results)