2013 Fiscal Year Research-status Report
G1期阻害物質DIFの抗腫瘍薬としての臨床応用に向けた橋渡し研究
Project/Area Number |
25460334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 富美 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50274436)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新規抗腫瘍薬 / 橋渡し研究 |
Research Abstract |
Differentiation-inducing factor(DIF:細胞性粘菌分化誘導因子)は細胞性粘菌が分泌する化学物質であるが、哺乳類の腫瘍細胞にも増殖抑制作用を持つことが報告されている。本研究は腫瘍細胞に対し強力な増殖抑制作用を持つDIF-1またはDIF様物質の抗悪性腫瘍薬としての臨床応用を目指すものである。この中で今年度は、ヒト由来大腸がん細胞を用いて効果的な併用薬剤の探索と併用時の作用機序についての検討を行った。 ヒト大腸癌由来細胞株HCT-116並びにDLD-1細胞を使用して、in vitroの系において、DIF-1との併用により細胞増殖抑制に著しい相加・相乗効果のみられる薬剤を同定するべく、白金製剤(シスプラチン)、代謝拮抗薬(5-FU)、抗腫瘍性抗生物質(ドキソルビシン)という作用機序の異なる他の一般的な抗腫瘍薬とDIF-1の併用による抗腫瘍効果について検討した。それぞれの併用薬剤により、DIF-1の抗腫瘍効果に相加的作用は認められたが、残念ながら著しく作用を増強するような薬物の同定にはいたらなかった。また、他の抗腫瘍薬との併用によるDIF-1の作用機序についても現在検討を行っているが、まだ新たな発見にはいたっていない。 一方、in vivoの系において、新たにヒト大腸がん細胞担がんマウスへのDIF-1およびDIF-3の経口投与の効果についての検討を行い、良好な抗腫瘍効果が得られることを確認するとともに、その作用機序についての検討も行い、DIF-1がin vivoの系においてもin vitroの系において検証を行ってきたのと同様の機序で抗腫瘍効果を発揮することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的の一つであった、併用薬の検討は培養細胞を使用して順調に進んでおり、作用機序についての検討も並行して行っている。 また、初年度には予定していなかったが、DIF-1の生体内での作用機序についての知見を得ることができ、さらに新たにDIF-3の生体内での抗腫瘍効果についての検討をお粉yことができた。 しかしながら、初年度に予定していたDIFに関するドラッグデリバリーシステムの開発に関してはあまり進展が見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、DIF分子の改良(ドラッグデリバリーシステムの開発)ならびに投与方法の検討について一層の力を入れていく予定である。 しかし、現在のところ、ドラッグデリバリーシステム開発のための中軸として考えているDIF-1のミセル化およびPEG化についてあまり進展がみられていないため、連携研究者との協議を重ねている。 また、DIF-1のみならずDIF-3にも生体で抗腫瘍活性が認めらる事を見出したのでDIF-3についての検討も行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DIFのドラッグデリバリーシステムの開発が遅れているのが、来年度に使用する予定でああるため、次年度使用額が生じている。 初年度にあまり進展のみられなかったドラッグデリバリーシステムの開発のために、今年度使用する予定である。
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Research Products
(4 results)